start 7 「無理、つか、告白に付いていっちゃダメだろ」 冷たく言ってやる。 冗談じゃない。俺が一緒に行ってどうなるんだ。俺が辛いだけじゃないか。 「えー、近くに居るだけでいいんだよー」 「近くぅ?」 「そ、告白前とぉ、後に居てくれると嬉しいなぁって」 語尾にハートマークが付いているような声色だ。 俺は一つため息を付き、頭をガシガシ掻いた。 「あー、告白前は何となく、分かる。けど、後は居なくてもいいんじゃないのか?」 2人揃って「付き合いました」って挨拶されても………困るだけだ。 「んー、仕事済んだ後、10分位しか空けれないって言ってたしなー。拓斗くん迎えに行くんだって。それに、…振られた時、慰めてくれないの?」 「……旭が振られるわけないだろ…。ってか日にち決まってるなら俺仕事抜けれ…」 「こうさん、お願い」 こういう顔する旭は卑怯だ…。 『見捨てないで』と顔にかかれてる。 何とかしてやりたい、そんな風に思ってしまう。 「俺が居ても、何も出来ない、けど…」 「居るだけでいい」 「こうさんと居ると、何か勇気でるんだ」 笑いながら伝えてくる旭。顔が真っ赤になっていくのが分かる。 「は、恥ずかしいやつ…」 悪態を付いても旭は笑ってる。俺が照れ隠しで言ってるのを解っていやがる。 悔しいけど、認めたくないけど、嬉しい。 俺、本当にお前の事好きなんだな。 あの時、うまく伝えられたか分からない言葉を言おう。 一つ大きく息を吸う。 普段はつい逸らしちゃいがちな目線を旭に合わせる。 出来るだけ気丈に、真摯に。 ちゃんと伝わるように―――― 「頑張れよ」 旭は驚きに軽く目を開いた。そしてそのまま破顔する。 「ありがとう」 うん、お前ならうまくいく。 この言葉は笑顔で言ってやれる自信ないから言ってやらない。 [*前][次#] [戻る] |