[通常モード] [URL送信]

start

「無理、つか、告白に付いていっちゃダメだろ」


冷たく言ってやる。
冗談じゃない。俺が一緒に行ってどうなるんだ。俺が辛いだけじゃないか。


「えー、近くに居るだけでいいんだよー」
「近くぅ?」
「そ、告白前とぉ、後に居てくれると嬉しいなぁって」


語尾にハートマークが付いているような声色だ。
俺は一つため息を付き、頭をガシガシ掻いた。


「あー、告白前は何となく、分かる。けど、後は居なくてもいいんじゃないのか?」


2人揃って「付き合いました」って挨拶されても………困るだけだ。


「んー、仕事済んだ後、10分位しか空けれないって言ってたしなー。拓斗くん迎えに行くんだって。それに、…振られた時、慰めてくれないの?」
「……旭が振られるわけないだろ…。ってか日にち決まってるなら俺仕事抜けれ…」
「こうさん、お願い」


こういう顔する旭は卑怯だ…。
『見捨てないで』と顔にかかれてる。
何とかしてやりたい、そんな風に思ってしまう。


「俺が居ても、何も出来ない、けど…」
「居るだけでいい」

「こうさんと居ると、何か勇気でるんだ」


笑いながら伝えてくる旭。顔が真っ赤になっていくのが分かる。


「は、恥ずかしいやつ…」


悪態を付いても旭は笑ってる。俺が照れ隠しで言ってるのを解っていやがる。

悔しいけど、認めたくないけど、嬉しい。
俺、本当にお前の事好きなんだな。


あの時、うまく伝えられたか分からない言葉を言おう。

一つ大きく息を吸う。

普段はつい逸らしちゃいがちな目線を旭に合わせる。
出来るだけ気丈に、真摯に。
ちゃんと伝わるように――――


「頑張れよ」


旭は驚きに軽く目を開いた。そしてそのまま破顔する。


「ありがとう」


うん、お前ならうまくいく。
この言葉は笑顔で言ってやれる自信ないから言ってやらない。

[*前][次#]

7/11ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!