◆〜88888HIT CLEAR
88888HITリクエスト
(クリスマスプレゼント交換するかわいいひとペア)
こちらのキャラです
テレビを着けても、新聞を見ても、街中を歩いてもそこかしこで言われる、まるでシュプレヒコール。
「メリークリスマス」
それほど大事なものだろうか……?
友達とドンちゃん騒ぎしたりするのは楽しいけれど、それはクリスマスでなくても構わないし、彼女がいた時にはここぞとばかりにたかられてゲンナリしたものだ。
別にクリスマスって祝う必要なくないか?
そう。
そう、思っていたのだけれど。
「クリスマス……、もし良かったら家に来ないか」
ただ一言、恋人である社長にそう言われただけでとてつもなく特別な日になってしまった。
「もちろんです!」
イベント事に乗じて騒ぐなんて、時間に失礼だと思っていたのに、この変わり様。
でも、少しぐらい浮かれても許されると思う。
2人切りで過ごすのは、初めてなのだから。
「良く来たな」
「はい、お邪魔します」
社長の部屋はその本人の気質なのか、きちんと片付いていてまるでモデルルームのような洗練された空間だった。
部屋の広さ的にも自分の部屋が丸ごと3つは入りそうなその空間は一般人にはちょっと落ち着かない。
「綺麗好きなんですね」
「他の事は苦手だが、掃除はな」
「他……というと?」
「料理も洗濯も、……ゴミの分類は本当にわからない」
ムスッとした表情でにがにがしく言う彼は、いつものきちんとした社長ではなく歳相応の普通の男だ。
それなのに、可愛いと思うのはおかしいのだろうか?
「手ぶらで来て良いという事なので手ぶらですが、食事どうします?」
「ああ、毎年クリスマスに頼んでいる店のものが届いている。手作りじゃなくて申し訳ないが、君の健康を害するのはもっと申し訳ないからな」
「……社長の料理の腕はそのレベルなんですね」
「人には得手不得手という物がある……」
社長の持ってきたオードブルをテーブルに並べ、高価そうなシャンパンと綺麗なグラスを傾けた。
「乾杯」
「乾杯」
リーンと鈴の音のような高い音を立ててグラスがなる。
自分には分不相応な高価な味のするシャンパンが喉を通る感覚が気持ちいい。
オードブルも文句なく美味しくて、今まで食べていたターキーは鶏だったんだろうなと認識出切るほど味が違った。
「美味しいです」
そういうと彼が嬉しそうに笑う。
それが1番美味しいと思える要因な気がした。
俺は酒が強い方だと思っていたし、実際殆ど泥酔した事などない。
だが、社長はそれ以上だ。
「強いですね」
「酒を飲む機会が多いからな、接待されるのもするのも」
クイッとグラスを傾ける彼は、常人ならとっくに倒れていてもおかしくない量のアルコールを飲んで尚、顔が少し赤い位だった。
グラスからシャンパンが消えるそれは見ていて気持ちがいいほどの速度である。
しかし、幾らなんでもピッチが早い。
「強いにしてもあまり飲むと倒れますよ」
いさめようとグラスを持つ彼の手に自分の手を重ねる。
一瞬手の動きが止まり、軽く震えた。
「う、あ……」
「え、あの」
顔が真っ赤だ。
あれ、もしかしてこの人……。
「緊張してたんですか?」
「っ!!!」
そういえばこんなお誂え向きのシュチュエーションなのだ。
恋人同士、2人きりで、彼の部屋、クリスマス。
もしかして、もう少し進展しても許されるのか?
「あ、あのな、その……」
「はい……」
「いやだったら、いやだったらいいんだが……」
「なんですか?」
「…………名前」
「えっ」
「名前で呼んで欲しい」
「…………」
か
可愛い
顔を耳まで赤くして、俯きがちに涙目でこんな事言ってしまう辺り本当にこの人はなんてピュアなんだろう。
穢れた男である俺からすれば、もう食ってしまおうかなんて食指ばかりが動くのだけれど、その欲求をグッと堪えた。
「忍さん」
「――……っ!!! や、やっぱりいい!!!」
「嫌ですか?」
「恥かし、ぃ……」
「俺は嬉しいです。ね、忍さんも俺の名前呼んでください」
「ひぅ……っ」
「ね、お願いします」
「あ、……篤志」
「はい」
ああ、凄い。
これ、凄い、幸せ。
社長の、忍さんの手を取って甲に軽く口をつけ、チュッと音を残す。
触れるだけのそれにもビクンと震えちゃって可愛い。
「いつの間にか俺の方が、ずっと貴女の事好きみたいです」
「……私だって、す、好きだからな……」
顔をもう片手で隠しながら、忍さんが小さく呟いた。
楽しい時間という物は光速で過ぎていくもので、
「それじゃあ、お邪魔しました」
「ああ、また明日……もう今日か」
泊めて欲しいなと思わなくもないが、焦る必要はない。
忍さんが自然に受け入れてくれるまで待つつもりだ。
早く受け入れて欲しいとは思うけれども。
「あ、そうだ、これ」
「ん?」
「クリスマスプレゼント」
「えっ」
「普段も使えるようにってネクタイなんですけど」
「あ、ありがとう」
「結んでみていいですか?」
「ん」
首に腕を回し、ネクタイを通すと前で結ぶ。
少しだけ奮発したそれはシュルシュルと衣擦れの滑る音を立てて彼の胸元に納まった。
「ちょっと不恰好になっちゃいましたね」
「いや、そんな事はない」
嬉しそうな反面、目線を空に泳がせる忍さん。
「どうしました……」
「あっ、その、ぷ、プレゼントの事を失念していたなと思って……」
「俺が上げたかっただけなんで気にしないで下さい」
「私だってあげたかった!」
ずるいといわんばかりの必死な表情。
そうですね、俺もプレゼント欲しいです。
少しだけ体を屈めて
「……ん」
キスをする。
見開かれた目が恥かしそうに震えながら少しづつ閉じていく。
はじめは触れるだけ、でも次第に激しく舌を絡め、お互いを貪りあう。
「は、……ぁ……」
口を離した時には自分で立っている事すら困難らしい忍さんの体を支えながら耳元で囁いた。
「プレゼント、頂きました」
「ば、馬鹿者……」
力無く毒づいた忍さんも、確かに笑っていて、今まで生きてきた中で最高に幸せなクリスマスになったのだ。
想志さんリクエストありがとうございました!
80000だけでなく88888までキリ番をとってもらえるなんて嬉しいです。
クリスマスとかプレゼント交換とか美味しいネタを頂いたのにほのぼのに終止してしまいましたが、大丈夫でしょうか……。
やっと名前がつきました。
社長=忍
平社員=篤志
です。
苗字は必要になればその内……。
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