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◆東京オーパーツ
2-2 傷跡と歪みと
大崩壊から数十年。

荒れ果てた地に絶望した人々は、まるで起きてしまった現実から目を反らすかの様に、高い塔を作り始める。


見ないでいられるくらい、高く。
忘れてしまえるくらい、高く。
高く、高く…。

そして、人は汚染された大地を見捨てた。

しばらくの時間が経ち、塔での生活が安定し始めると、
人々は減ってしまった人口を増やそうと考え始めた。
だが汚染の影響で人は子供を望めなくなっていた。
どうにかして子孫を残したい。
その望みを人はまた情報に頼った。
戦争を生き残った科学者達はあらゆる情報を漁り、組み合わせ、変質させ、1つの答えにたどり着いた。

たどり着いた答えは、―――人工母体。

人工母体は、機械制御された人工子宮の集合体で1度に数百人以上を育てることができ、自然体のように休むことなく育て続ける事が可能。
自らの遺伝子情報と配偶者の遺伝子情報を組み合わせることによって、自然出産の時と、ほとんど変わりない子供が望めた。
何よりの変化が、人工母体で創られた子供は生まれながらにホール(情報摂取孔)があることだった。

最も優れた母として人々は、人工母体に子供を望んだ。
多くの夫婦が、自分達の子供を腕に抱き、育て、慈しみ、愛し


―――殺した。

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あきゅろす。
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