リク8 その4
「ん……、く、ふぁ…アァあ…っ」
後唇を割り開こうと押し当てられたペニスは久しぶりだからかいつもより大きく感じられ、襞を圧迫する感触と微かな痛みに眉を顰める。
だけどそれが酷く心地よくて、ついさっき達したばかりのペニスが再び芯を持ち始めるのを感じた。
「うわ、やっぱりちょっと慣らしが足りなかったか。切れては無いけど一度抜く?」
「ふあっ!」
具合を確かめるように原田を咥えこんだ襞を指でなぞられ、ペニスをキュッと締め付けてしまう。
試験で我慢していた身体は自分が思っていた以上に欲求不満のようで、いつもよりもずっと感じやすくなっており、与えられた快楽で制御できない身体がガクガクと揺れた。
「なんか大丈夫そう、少しずつ動くから辛かったら言って?」
「……ん」
原田の手が俺の腰を掴むと、様子を見ながらゆっくりと挿入していたペニスを引き抜いていく。
腸壁を滑る竿の感触に排泄に似た快楽が腰を快楽で重たくし、再び深く貫かれて心地よい吐息が漏れる。
受け入れる時にはもっと奥まで受け入れようと内壁が開き、引き抜かれる時には長く引き抜かれる感覚を感じようとして襞が絡みつく。
次第に原田のペニスの大きさに慣れてきたのか、揺さぶられる身体の動きに合わせて反応し始めた。
「ふ、あっ!」
長いストロークで擦りあげらていたペニスが後唇から浅い所で止まり、前立腺を探る様に小刻みに揺れる。
強すぎる快楽に喉がヒュッと鳴り、全身から汗が噴き出し、目の前が存在しない筈の光でちかちかと点滅する。
「ぃう…ッ! うぁ、そこ駄目っ!」
「ここ?」
「〜〜〜ッ!」
俺の感じる所は全部わかっている筈なのに、原田はわざとソコを責めて俺の反応を楽しんでいる。
余裕のない俺は何とか声だけは抑えようと、口に手を当てて軽く噛み、なんとか嗚咽を堪えた。
強すぎる快楽を無理に抑えた反動か、鼻の奥がツンと痛み、視界が涙で滲む。
「声抑えるなよ」
原田は俺の名前を呼びながら噛んでいた手を口から外すと、手の甲に残る歯形をゆっくりとした舌の動きでなぞった。
疼くように痛んでいた歯の痕が、原田の舌の感触に塗り替えられて、気持ちよさに変わっていく。
「は、ずかしいんだよ、ばかっ」
「春日部はマゾだから恥ずかしくても感じちゃうからちょうどいいんじゃない?」
「うるさい、変態」
「そうそう、俺は変態だから春日部の喘ぎ声聞くと興奮しちゃう。だから隠すなよ」
原田は慣れた手つきで俺の両手を頭の上でひとまとめにすると、片手で難なく押さえつける。
空いた手で太ももを軽く持ち上げて前傾姿勢にすると、押さえつける腕に体重がかかり、手首がギシリと痛んだ。
「いてぇっ……、原田おま、…え?」
口に出して訴える程に痛い訳ではないのだが、今日は身体が気持ち良すぎて声を制御できる気がしない。
なんとか腕を自由にして声を抑えなければ、それほど壁が厚くもない我が家の外まで声が響いてしまう可能性は十分にあった。
が、肌の表面が床を少し擦るだけで拘束からは抜け出せない。
「無理無理、非力な春日部じゃ抜け出せないって」
それほど強く押さえている風には見えないのに、力の加減が上手いのか、どれだけ自分に引き寄せようとしても腕は一向に自由にはならなかった。
「ま、待て、コレやばいって」
自分がマゾなのは認める。
痛いのも恥ずかしいのも感じてしまう性癖が、間違いなく俺にはある。
だけどそんな俺でも周囲にゲイだと公言する気もないし、世間から白い目で見られるのは怖い。
大体虐められて感じるのだって原田以外で試した事は無いのだ。
「声が響くと困る?」
「あ、当たり前だろ!」
「じゃあ俺が声を抑えてあげる」
「どうやっ、んむ゛ぅッ!」
強引に塞がれる唇
言葉ごと吸い上げ絡む舌
全身を射竦める獰猛な瞳
「声を漏らしたくなかったら頑張ってチューしてね」
「こ、この鬼畜野郎」
「でも虐められるの、……ゾクゾクするでしょ?」
耳元で囁かれる低い声に身体は反応してしまう。
唇に触れるだけの軽いキスをして離れようとする原田に、足を絡めて引き留めた。
「声が出ないように、き、キス、して……」
「はぁい」
何でこんなに屈辱的なのに、感じてんだ、クソっ!
「手首が痛い、腰がだるい、酸欠で頭がぼんやりする」
「悪かったって! でもスッキリしただろ?」
原田はペットボトルに入った水を差し出しながら、悪いなんて微塵も思っていない口調で謝る。
確かに自分で思っていた以上に身体に不満が溜まっていたのは認めるが、いつも強引過ぎて俺の欲求を解消してくれている礼よりも文句が口をついて出てしまう。
口をつけた水はこめかみにキンとした痛みを感じる程に冷たく、火照った身体から丁度良く熱を奪ってくれた。
「……ありがと」
「水? どういたしましてー」
原田は水の事だと思って笑い返してくれたが、自分でも何に対して礼を言ったのかわからない。
水を持ってきてくれた事
煮詰まってるのに気付いてくれた事
俺を好きになってくれた事
ただ何となく言葉にして伝えなければいけないような気がして言葉を紡いだ。
原田に流されるようにして始まった関係だけど、今では俺の方が原田の事を好きになっている気がする。
きっとコイツといたら苦労するだろう。
男女問わずモテるし、考え方は軽いし、計画性は無いし、金遣いも荒い。
きっと手放せず、縋りついてしまうのは俺の方だ。
「あ」
「どうした?」
「オモチャの事忘れてた。ほら、来た時言ったじゃん?」
「ああ、そういえば」
寝不足の頭に一つでも多くの知識を詰め込もうとしていた俺の脳みそからはすっかり消去されていたが、確かそんな事を言っていたような気もする。
原田はガサガサと荷物を漁り、手に握ったそれを高く掲げて誇らしげに胸を張った。
「じゃーん、オナホール!!!」
「……、は?」
「いやぁ、だって春日部は童貞じゃない? でも俺の尻に突っ込みたい訳でもないし、俺も出来れば突っ込む方が好きだから! ね! ね!」
原田の手の動きに合わせてぶるんぶるんとオナホールが回る。
意外と面白い動きするんだなーと何処か遠くで考えつつ、俺の手は掃除用の箒をギュッと握りしめていた。
「あ、あの、春日部さん」
「ね! じゃねーよ、この馬鹿ッ!!!」
「ギャンッ!!!!!」
訂正。
× きっとコイツといたら苦労するだろう
○ 絶対コイツといたら苦労する
あ゛ー、なんで俺はこんな馬鹿に惚れたんだろう!
gyokt様リクエストありがとうございました!
遅くなってしまいましたが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
原田は頭が悪く、春日部は趣味が悪いです。
でもこういう合わなそうな関係が喧嘩しながらも少しずつ歩み寄って、ずっと一緒にいたら幸せだなと思っています。
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