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リク4 その4
「日向、触れてもいいか?」

「いいけど……」

俺の言葉に日向は首をかしげた。
わざわざ聞くことが不思議でたまらないといった表情に、自分で思っていた以上に日向が俺を受け入れてくれた事を知る。

不安で日向の心を疑ってばかりの俺を日向はこんなにも優しく迎えてくれるのに、今まで気付かなかった。

「……んっ」

頬に触れると指の冷たさで日向の身体がピクンと揺れる。
その小さな声に心が跳ねた。

形を確認するように顎から耳のラインをなぞり、プルンとした耳朶を指で揺らす。
柔らかな感触を指先で堪能しながら日向を確認していく。

温かい体温
肌越しに感じる血の流れ
優しい眼差し

「う……ぁ、」

服越しに胸に触れると、日向の頬がサッと赤く染まる。
かすかに膨らんだ胸は柔らかく、指先に少しだけ力を込めるとムニとその形を変えた。

「……っ! ぁ、やっ、やだ」

「少し先が尖ってきているな、感じているのか?」

「っく、……ん、んぅ、っ!」

指の腹で押すようにして膨らんだ胸を刺激すると、日向はむずかる子供のように口を引き結んで首をフルフルと振る。
耐え切れず口から漏れる声は艶っぽく、時折零れる吐息は熱く濡れていた。

快楽で目元は赤く染まり、眦には涙がうっすらと浮かんでとても色っぽい。

「馬鹿……、ここ、長の家っ!」

「別に長は気にしないと思うが?」

「気にしろ! というか俺は気にする!」

必死で俺の手をどかそうと日向が腕に手を伸ばすが、その程度の力ではびくともしない。
まるで子猫がじゃれ付くような抵抗に、微笑ましさすら感じる。

「そうか」

「そうだ!」

「じゃあ日向のだけすればいい」

「は?」

胸に触れていた手をスッと下ろし、そのまま日向の下肢に触れる。
少しだけ反応していたそこに触れると、日向はビクリと身体を戦慄かせた。

「お、まっ!!!」

慌てて俺の手を下肢から離させようとした日向の動きがピタリと止まる。
そしてゆっくりと顔をあげて俺の顔を真正面から見据え、少しだけ困ったような表情でポツリと呟いた。

「今、お前に必要な事なのか?」

「……わからない。だけど触れたい」

おそらく日向の言わんとしている事は、精神の安定の為に必要か否か。
だけど俺にはそれが必要なのかどうかすらわからない。
ただ日向に触れてその存在をもっと身近で感じたいという本能的な欲望に従っているだけだ。

「に、匂いとかなんとか出来るのか?」

「老いたとはいえ長も感覚が鋭いし、完璧には無理だ」

「そこは無理でも大丈夫とか言葉を濁せ、誤魔化せ!」

どうやら受け入れてくれるつもりらしい日向は、顔を真っ赤にしながら俺の頬をギュウッと摘んだ。
元々力が無い上に照れ隠しの意味合いの強いそれは、俺に痛みではなく不思議な充実感をくれた。

「……、大丈夫」

「棒読みかよ」

嘘は苦手なのだから仕方が無い。
不満そうに口を尖らせた日向の唇に自身の唇を重ねた。

わざと音が鳴るように口付けを交わせば、日向の硬くなっていた身体から徐々に力が抜けていく。
服と肌の隙間から指を通し下着ごと性急に抜かしていくと、色素の薄い日向の下生えがシャリと音を立てた。

指で下生えをなぞると肌に触れるか触れないかの弱い刺激がもどかしいのか、モジモジと身を揺すり触れて欲しい箇所を訴える。
焦らすつもりもないので、指先で形を確認しつつ日向のペニスを口に含んだ。

「ふ、ぁあ、あ、あ……、あ」

感じているのか口の中でピクリと暴れた日向のペニスは、先端からツゥ…と蜜を零す。
垂れた蜜を唾液をたっぷり含んだ舌でなぞれば、また新たな蜜が供給される。

「っ、あっ、う、ぅ……っ!」

「ん……、ん、いつもよりも感じやすいな」

「最近してなかったから、か、も……、んぅっ!」

確かに日向の腹が子を宿してから以前ほど頻繁にはしなくなっていた。

勿論日向に飽きた訳でも、性的欲求が薄れた訳でもない。
箍が外れやすい自分が日向を傷付けないように必要な措置だ。

「あまり出来なかった分もたくさん感じたらいい」

「ば、か…、これ以上されたら、もっと欲しくなるだろ、……っ!」

「……は?」

一瞬日向の言った言葉が理解出来ず、数度目を瞬かせる。
それはどういう意味合いだ?

「我慢してるのが自分だけだと思うなよ、散々お前に慣らされた所為で俺の身体絶対おかしくなってるからな」

「おかしく?」

「男なのに、受け入れて、感じる、とか……、色々」

視線を逸らしながら細切れに言葉を紡ぐ日向は、照れくさそうに指を蠢かせる。
恥ずかしいだろうそれを理解力のない俺の為に口にしてくれたのだろう。

その事実が俺を激しく昂ぶらせた。

「いっ、あぅう……っ!」

ジュプリと音を立てて日向のペニスに舌を絡める。
そのまま口を窄めて絞り上げるように扱くと、先走りよりも匂いが濃くてドロリとした液体が舌を刺激した。

「っ、――……っ! ゃ、あっ、あ」

ヒクヒクと痙攣する太腿が絶頂を近い事を知らせ、快楽に揺れる腰がもっと強い刺激を求めて震える。
爪で傷付けないように丁寧に指を這わせながら、先端を強く吸い上げた。

「ぁああっ、…ん、ん……ッ!」

日向の身体が大きく揺れたかと思うと、その動きに合わせて口の中に濃い精液が注がれる。
絶頂で震える身体は自分の思い通りにならないのか、日向はプルプルと小刻みに震えた腕で俺の身体に必死で縋りついた。

「あ……、あ、ぁ、あ……」

唾液と共に精液を嚥下しつつ、日向のペニスを丹念に舐めあげる。
ビクンと揺れた身体が最後の一滴を口内に吐き出すと、日向は、はぁ…と深いため息を吐いた。

「飲んだ……」

「日向のものだから美味しく感じる」

「ただ単にたんぱく質が好きなだけだろ」

「そんな事はない、日向の性器じゃなければしゃぶったりしないからな」

そう言って萎えたペニスに指を這わせると、日向の手がピシャリと俺の手を打ち、キッと睨んだ。
性的な事を恥かしがる日向にしては今回はかなり頑張ってくれたので、俺もこれ以上無理をさせない事にしてスッと引く。

「なんかどっと疲れた。まだ朝なのに……」

「そうだな、何故かもう3日程経過したようなつもりになっていた」

「帰るか」

「そうだな」

服を調えてから日向の身体を抱き上げると、少しだけ考えてから日向は俺の胸に身体を寄せた。
胸元に感じる柔らかな毛の感触はくすぐったいが、嫌ではない。


「迎えに来てくれてありがとな」




ここで綺麗に終わればよかったのだが、問題が1つ。

折角日向が俺の為に作ってくれたジャムを馬鹿息子が綺麗サッパリ平らげてくれた。
ビンに少しでも残っていればまだ許せたのだが、わざわざパンで拭ってまで綺麗サッパリ。

「う゛にゃぁあ゛ああああああああっ!!!」

そういえば朝日とは比較的味覚が似ているから好きなものを似通っているのだったとぼんやり思いつつ、腕を折れないギリギリで捻った。

喚く朝日が悪いわけではないと知っている。
完全なる八つ当たりだ。

結局日向がため息交じりにまた作ってやるからと言ってくれるまで、馬鹿息子との父子の交流は続いた。
それ以来勝手に保存食に手をつけなくなったので、結果としては上々だろう。




コウ様リクエストありがとうございました!
楽しんで貰えたら嬉しいです。

珍しく朔夜目線で書いたので文章が迷子になりつつも、制作作業楽しかったです。
最近ラブラブばっかりだったので喧嘩もまた楽し、です。
最後はイチャコラしてましたけどね!


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