[携帯モード] [URL送信]

短編
non title

あたしはどうやら、“恋”というものをしているらしい。









「…」

両の目でその姿を追うようになったのは、いつかなど、あたしには愚問だ。
例えばそれは出会った瞬間からだったかもしれないし、一瞬の光景の後だったかもしれない。


ただ、あたしは“今”確実に恋をしているのだと知った。









(…睫毛長ぇ…)

こっそり盗み見るのはもう何度目?
それさえも忘れた。
よく恋をすると息をするのも辛くなる、とか。
胸がときめく、とか言うけれど。

あたしはそんなものは感じない、静かな静かな恋だった。


ただ気付いたら目で追って、喋れるだけで幸せで、その人が隣にいるだけで、半身が熱を持って、胸の奥が暖かくなった。


その人とずっと一緒に居たいと願ってしまう。






だけどこの恋はきっと、叶うことはないだろう。
あたしの奥底で芽吹いて、息衝いて、そして、いずれ頑丈な封をしてしまう。

きっと今、あたしは迷子のような顔をしているに違いない。


だってそうでしょう?









「先生――」


好きなんかじゃ、ない
(そう言えたら、どんなにか救われたことだろう)

貴方は教師であたしは生徒―。


[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!