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俺の頭んなかはアイツの顔がちらついて熱と混ざってゴチャゴチャになった。

ああああ゛〜っ
頼むからそっとしといてくれ…!!
クソ〜〜…あああぁ…

俺は頭をかきむしりながらベッドの上をのたうち回った。
そんな俺の不安をよそに、インターホンが鳴り響く。


「き…来たっ」

ああどぉすんだよコノ…ッ
てか誰がでるんだ…?俺以外誰もいねぇし。

案の定、宮城は困惑していた。

「あぁ?留守か?」
“…んなワケねぇよな。さっき電話したばっかだし”


“開いてんのかな…”


何度めかのインターホンが鳴ったあと、カチャっという音が響いた。

「は、入ってきやがった」

俺はとっさに部屋の扉の向こうを見遣る。
そして視線を落とすと、胸のはだけた自分の姿が目に入った。俺は必死になってボタンをはめ直した。

“…情けねぇ…”

ゴホッゴホッ

俺の咳払いと混じって階段を登ってくる足音がする。ハタと手が休まる。宮城が来た。俺には悪魔が来たぐらいのモノはある。

や…ヤラレル…!!

そんな口に出すのもはばかれるようなおぞましい言葉が頭の中を支配する。


“助けてくれ!!”

《カチャ…》

俺の思いも虚しく開かれた扉の向こうで宮城の顔がヒョコッと現れた。
「チッス。こんばんわ。」

小さく手を挙げると奴は辺りを見渡しながら部屋んなかに入ってきた。

「おま、なんで来んだ、よ」

駄目だ。ふらふらする。クラクラする。ろれつも上手く回らねえ。

「や…俺のせいなんで、一応。」

宮城は申し訳程度にシュンとして見せたが、すぐにへらりと俺の方を見た。

「なんだよ」

俺はカッと見開いて目前の敵を睨み据える。汗が吹き出て気持ち悪い。体ぜんたいが暑い。暑くて暑くて……胃が…
どうやら俺は胃が弱いらしい。

「昨日はすんません」

そう言って近づく相手に俺は両腕で制して身構えた。

「??? なにビビってんすか?」

なに?お前のそのニヤついた顔はなんだよ?
俺がへばってる時にわざわざ来やがって…お前の魂胆はわかってんだ。


「おい宮城。それ以上近づくなよ。ゴホッ…」

宮城は、ふぅと腹の底からの溜め息を吐くと、苦笑して俺のすぐ側まで来て言った。

「三井サン、あんま警戒しないでよ。俺だって病気の人間に手出すほど卑怯じゃねぇ。」


「言ったな?誓えよ?もし変なことしやがったら完治した時ボコだぞボコ。」

ふはっと表情を崩して笑うと、はいはいとあやすように言った。

どうにも信用できない。なぜなら宮城が俺を見る目は……
どことなくおかしいからだ。

まるで女を見るような目つきで見てきやがる…俺はそれが気に食わない。



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