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「お前は元気そーだなぁ?ん?リョータ君」

「いちち…」

三井さんは俺のほっぺをギューッとつねりながら皮肉いっぱいにガンを付けてくる。
ごめんね、それさえも嬉しい。たぶんナニされても嬉しいだろう。
三井さんの一挙一動が俺の目に焼き付く。

「そだ。三井さん、携帯の番号教えてよ。」


「何?んなモン持ってねぇよ。」

「は?! 持ってろよ!」

三井さんがムッとした顔で俺を見下ろしてくる。

「俺は電話は嫌いだ。」

…それじゃ困る。せっかく番号聞き出して毎日でも話せると思ってたのに…

「じゃあ家の番号教えてよ。」

俺はそう易々と食い下がらないぜ三井さん。

三井さんの端正な顔に青筋が浮いている。

「番号なんか聞いてどうすんだ。」


「…眠れないんだったら俺が子守歌でも歌ってあげようかと…」

ゴンッと鈍い音と一緒に頭上で火花が散る。

「ってぇ!!!!…て ああ!!セットが乱れてる!!」

俺は自慢のヘアを押さえてワァワァと喚く。

「乱れてろ!」

やっぱりダメか…と思ったら三井さんが何やらゴニョゴニョ言っている。

「…5260…。
覚えたか?二回は言わねぇぞ。」

俺は三井さんの番号をしっかりと頭に記憶させた。
こうゆうところ…優しいと思う。

「…かけていいの?」

「じゃあかけるな。」

「かけるよ!!絶対取ってよ?ね?三井さん?」

俺は小躍りしながらはしゃいだ。三井さんの冷ややかな視線もなんのその。


そしてついに三井さんの番号を聞き出した俺は
その晩、自室で携帯と睨み合っていた。

“まさか寝てねぇよな。まだ9時だし。
いや…でもあの人のことだしもう寝てっかも。つーか、出てくれっかな…まずそこだよな。”

俺の思考は悪い方へと廻る。
一息つくと、今朝覚えた番号を打ち込み始める。俺の記憶力は抜群だ。

《トゥルルルル》

一回目のコール

《トゥルルルル》

二回目


《トゥルルルル》

三回目


《トゥルルルル》

四回目…


「…おい、早くでろよ」

寝っころがって足をバタバタさせる。


《トゥルル…かちゃ》

「あ!!!……ゴホッ…もしもし、宮城ですけど…」

「宮城…さん?」

聴こえてきた可愛らしい声に、心臓が飛び上がるほど蒸気していた俺のテンションは一瞬静まった。
「あ、お兄ちゃんの友達さんですか?」

「…あ…はい。友達さん…デス。」

まさかアンタの兄貴に片想いしてる者ですとは言えない。こんな時に変な妄想が頭をよぎる。
ぎこちなく応えると声の主は三井さんに代わると言ってその場から離れていった。


しばらくするとカチャと受話器を取る音が聞こえてきた。
俺は生唾を飲み込む。

「………おい」

聴こえてきた声はなんとも野太い何時になく低い声…でも間違いなく三井さんの声だ。

「ウス。宮城です。」

少し間をあけてから、声が裏がえらないように胸を落ち着かせる。

「ウスじゃねぇよお前。タイミング悪すぎだ!!」

「え?もしかして晩飯食ってたとか?」

「ちげぇよ風呂入ってたんだよ!風・呂っ」

どうやら入浴中に電話してしまったらしい。わざわざ中断して出てくれたってことか。じゃあ…

「今もしかして…マッパ?」



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あきゅろす。
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