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こう暑くちゃマトモな頭じゃいられねぇ…
本気で吐きそうだ…。

苦しそうに表情を歪めて呼吸が荒くなる。

宮城はその三井の首筋に顔を埋め、そっと口づけてみた。


「……」


抵抗がない。というより………固まってる?

何の反応もない。
むしろ荒い呼吸すらも止まってしまったようだ。



《ドクッドクッドクッ》

お、落ち着け。
落ち着くんだ三井寿。
女みてぇに何ドキドキしてんだよ。
相手は男だろ。しかもよりによってあのチビ…

このまま宮城に良いようにされてたまるか…っ

クソッ!!俺はホモじゃねぇぞ…!!!

くあぁ…だめだ……頭に血が上りすぎた……


宮城は三井のユニフォームを首までめくり上げて、胸に手をやってみる。


《ドッドッドッ》

物凄い勢いで脈打つ三井の体に驚いた。

「ぶっ!!」


俺は思わず吹き出してしまった。
俺が緊張する場面でなんでこの人がこんなになってんのか、それが可笑しくてしかたがない。

「あ!!てめっ宮城!!」
“これは俺にも望みがあるかも知れない”

そう思ってからの俺は強い。俺の悪戯心がくすぐられた。


三井さん……あんたほんとバカだよな。
ま、そこが好きでもあるんだけど。


もう自分の感情を否定するのも馬鹿らしい。

「三井さん、あんた俺のこと好きだろ。」


俺は三井さんの両腕を組み敷いて、勝ち気に真上から見下ろして言い放った。

「!!!!!?」


なぜか殴りかかるでもなく、この人の顔はみるみるうちに蒸気してゆく。


“…ああもうっ
そんな顔しないでくれよ。もうアンタの気持ちわかっちまった。
単純明解。ほんと解りやすい奴─



でもプライドの高い三井さんのことだからきっと誤魔化して否定してくるに違いない。

ここは俺から言うっきゃないか。



「俺はアンタが好きだ。」

「す…好きってお前…」

まともに受け取るべきか、聞き流すべきか俺は考えた。宮城のこの様子からすれば冗談で言ってるとも思えない。


なんでコイツとは毎度毎度ややこしいことになるんだ…。
本当に俺を好き…なのか?。

どうも納得いかない。というかすぐに受け入れられるはずもない。
恋愛にうつつを抜かしてる時期でもねぇし増してや男と…
有り得ない。


俺は───無理だ。


「悪い…俺はそっちの気はねぇんだ」


「…は?」

「だからお前とどうこうなるってのは無理だって…」


“そっちの気ってなんだよ。まるで俺がホモみたいな言い方しやがって……………………て、ホモなのか…俺。”


改めて自分の性癖に深く落ち込んでいく。

この世の終わりのような宮城の情けない顔を見て「スマン…」と律儀にも謝る三井に

羞恥と虚しさでどうにかなりそうだ。




俺の考えは間違っていた。

三井さんも俺に気があるんじゃないかと少しでも期待を持ったのが間違いだった。

なんでそんな考えが浮かんだんだ。

どんだけプラス思考なんだよ。


ほら、三井さんの冷たい視線が突き刺さる。
俺は変態だ。もうバスケどころの話じゃなくなるかも知れない。

俺のなかにバスケ以外のことでこんなにも頭がいっぱいになるとは予想しなかった。

彩ちゃん…ごめん。

なんだかいたたまれない。



普通に女の子を好きでいりゃ良かったのに俺ときたら……

“俺の想いは間違いだった”


俺はもう震える拳をこの怒りをどこにぶつけたらいいか分からず、部室の壁めがけて力任せに殴りつけた。


《ゴンッ》

「おわっ」

鈍い音を残し、その場から立ち去った。

三井はただその後ろ姿を見ていた───





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あきゅろす。
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