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流川編



夏と言えば肝試し!!ということで、以前から皆で計画していた肝試しを、今日決行することになりました!!
すっごい楽しみな反面…正直怖いです…。


夜中の2時に学校の校門前集合だったのですが、女の子が夜更けに外を出歩くのはデンジャラス極まりないということで、男性陣がそれぞれ家まで迎えに来てくれるということになりました。



【―肝試し―流川編】

で!!
私を迎えに来てくれるのは当然、楓……なんだけど…(彼氏だし。あ、この響きたまんないや…)

まだ来ない。

楓のことだからまさか寝てるんじゃ…?!

私は有り得る想像に不安を覚え、携帯を開いてディスプレイに目をやった。


1:50


「40分には迎えに行くって言ってたくせに!」


私の家から学校までがだいたい15分ぐらいだから、5分ぐらい余裕を持たせたら丁度いいと思ってこの時間に打ち合わせしたんだけど……もうちょっと早めにすりゃ良かったかな?


と、その時着信を知らせるレインボーカラーのライトが点滅した。


「着信 楓


……ハート付けてる自分…万歳…。
恥ずかしすぎっ!!


と、一人ツッコミを入れてる場合でもないので、とりあえず通話ボタンを押した。



「もしもし!」


「今着いた。出てこい」


…おい。


「出てこいって…わかった…でも親起こさないように出なきゃだからちょっと待っててくれる?」


「早くしろよ?」



ヲイ!あんた遅れて来たくせに!!
…て、一応はちゃんと迎えに来てくれたんだから文句言うのはよそう。


「わかったよ!じゃ、いったん切るね?」

小声でそう言ってから切った。



ああもうホント俺様主義だよな…。でもそこに惚れてる私は相当なマゾなんでしょう。たぶん。


えっと…携帯に懐中電灯は必須アイテムなんだよね、確か。忘れないように持ってかなきゃ。


よし。準備万端。いざ!!


私は玄関までの道のりを、ジッと息を潜めて忍び足でやって来た。

カ、チャ…


「ウス」

チャリに跨り彼氏様見参。

「ウ、ウス」


片手を小さく上げて真似て言ってみた。

電灯の下に照らし出された楓の格好は、黒のパーカーに黒っぽい色のスエットにクラシックな黒のスニーカー……全身黒尽くめ?!
と言うか夜だから黒く見えてるだけ、なの?

怪しい……けど
…あんたやっぱカッコイイわ…
性懲りもなくそう思う。黒が似合う男は素敵よね。


その黒猫みたいな楓が、後ろの特等席を指さした。


「ボケっとしてねぇで早く乗れ」


「……あい」


私は少々赤面ぎみに楓の腰に腕をまわすと、その特等席にちょこんと腰を下ろした。


うわぁ…なんか真夜中にこっそり逢い引きしてるみたいで素敵!!


「しゅっぱーつ!!」

「……」


「ん?なによ〜?」


「別に」


どうせガキだって言いたいんだろーけど別にいいよ!!
楓とこの時間帯に2人でいられることがまず嬉しくて仕方ないんだもんさ。


自転車が動きだしてから、私は頭を楓の背中に押し当てて、この幸せを噛みしめた。


そんな幸せなひとときって、やっぱあっと言う間に終わってしまう。

もう学校に着いてしまった。


ああやっぱり…
もう皆来てるじゃんか…涙



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