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はじめまして。
湘北高校1年の、三井絵梨です。
これから私とお兄ちゃんのくだらない日常生活をお話したいと思います。
もうそろそろ来る時間だな…
私は目覚まし時計を見て、布団を頭までかぶる。
《トントン》
きたっ
「おい絵梨。朝だぞ。」
お兄ちゃんの声だ。
お兄ちゃんは毎朝、私を起こしに来てくれる。高1にもなって…と思われるかも知れないけど、これは全部私の企み。
つまり確信犯なんです私。
私が朝食の時間まで部屋を出てこないと、お兄ちゃんが起こしにきてくれるの。
優しい兄…だと思うでしょ?
でもね…
「こら絵梨っ
朝メシだぞ朝メシ」
布団をめくられて、オデコをペシッてされる。私はいつものように寝起きを装って目をこする仕草をする。
毎日のことだから手慣れたもの。
「痛ぁ……お兄ちゃん…勝手に入らないでって言ってるのに」
お兄ちゃんを見上げてふくれて見せる。
そう言ってのそのそと布団から這い出ると、ひとつ欠伸をする。
「俺が起こさなきゃいつまでも寝てんだろ」
そう。私の目覚まし時計は壊れてる、ってことにしてあるし、お母さんは朝から仕事だから朝食だけ作ったらすぐ出かけちゃうし、お父さんは出張中だし。だから毎朝、お兄ちゃんと朝食をすませて一緒に家を出る。
あとは別々に行動するんだけど…お兄ちゃんはコンビニに寄ってサプリメントとパンを買うし、私はそのまま晴子ちゃんと落ち合って登校する。
朝食だけじゃ足りないんだって。
「お前さ、目覚まし時計買い換えろよ?潰れたんだろ?」
「…そのうち買うってば」
お兄ちゃんがあきれた顔で私を見る。
これが朝の楽しみのひとつなんだよね。
「あ、忘れてた。お兄ちゃんおはよう」
ニッコリしてよいしょっとお兄ちゃんの制服をつかむとベッドから降りる私。
ここでちょっとよろけてみたり。
私って計算高いよね。
「ん。」
お兄ちゃんっていっつも「ん」としか言わない。ちゃんとおはようって言わないんだよね…なんでだろ。
「じゃ、着替えたら降りてこいよ。」
「はぁい」
お兄ちゃんが出ていったあと、私は急いで制服に着替える。私は別にお兄ちゃんがいる前でも着替えられるんだけどな。
お兄ちゃんはちゃんと部屋を出て扉を閉めて行く。なんかこーゆうとき…切ない。
妹の裸なんかに興味なんかないだろうけど…。
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