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「あんたらは来ないで!」


「なんで?!」
「おい花道〜モテモテだぞお前〜やるなぁ!」
「ぬ」


ヒュヒューと冷やかしの歓声を背に浴びて若干照れ臭そうに桜木は私と優子の側までやって来た。


やっぱデカいわ…。感心するほどデカい。桜木は最近バスケ部に入ったらしいけど、スカウトでもされたんだろうか。


桜木は普段からともかく目立つ。

それゆえ一気にクラスの注目を浴びることになったので、ここはひとまず廊下に出てお話しすることにした。



「この桜木に何か用でしょうか?!」
「ちょっとね。こっちこっち」

手招きして廊下へと連れ出す。私の後ろですでに小さい体をさらに小さくして隠れてる優子も一緒に。


握られた腕がけっこう痛い。



「ほら、優子!」


後ろで顔を隠したまま俯く優子を桜木の前に献上する。


「夏樹ちゃん…っ」


わぁ……こうしてみるとライオンに狙われたバンビのようだわ…。


「ぬ??」



桜木が頭にクエスチョンマークを飛ばして、バンビ…じゃないや優子を凝視してる。


「あんたと話がしてみたいってさ」
「優子さんがこの俺と?!なにゆえ………」
「あ、コラ桜木!そんな迫力のある顔で凝視しない!ただでさえ怖いんだからアンタ」
「それはスイマセン俺としたことが…!!」
「ほら、優子も黙ってないで何か話してみなよ。桜木はこんなナリしてるけど優しい奴だからさ。取って食いやしないって」


優子はもう赤面したまま俯いちゃって顔を上げるのがやっとみたいで。いいなぁ可愛いなぁ、こーゆうリアクションが男にはたまらん可愛く映るんだろうなぁ…。現に桜木は優子に釘付けだし。


「あの、優子さん」
「え…っ」


お。何を言うつもりだ桜木花道。いいぞ花道。


「俺って怖いんでしょうか!!」
「え……!!」


桜木が優子に一歩ぐっと近寄ったので、すかさず私がビシッと制止する。

「ちょっと待った。普通に怖いから。それ以上近づかないようにお願い」


私には優子を守る義務があるのだから!


「俺のどこらへんが怖いのでしょうか!?」

自覚ないのか桜木。

「まずそのデカさが原因と思われるよ桜木」
「む……しかしこればっかりはどうにも……!」


桜木は、優子に対して、怖がらせてしまってスイマセンと律儀にも頭を下げた。



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