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みっちゃんの心配そうな声で私は完全に覚醒した。
…寝覚め…さいあく。


「ほんとだ…汗きもちわるい…」

パジャマの中に手を入れたらすごく熱くてびっしょりだ…。


「とりあえず電気つけるぞ?」


「…うん」


みっちゃんは私からいったん離れるとベッドから降りて、電気をつけた。



眩しい真っ白な光りに目がシパシパする。

うっすら目を開けたら心配そうに私を見るみっちゃんの顔があって。

…すごく安心する。
もし一人だったら?
もしいつも通り部屋で寝ていたとしたら…孤独と辛さで泣いてたかも知れない。

こんな時になんだけど、みっちゃんが私の大きな心の支えになってるってことを再確認した。


「…着替え」


「……うん…。着替えたい…」


「おし、ちょい待て」

みっちゃんはクローゼットの前でヤンキー座りをすると、あれでもないこれでもないと次から次へと服を引っ張り出し始めた。


「確か中学んときの小さいサイズのがあったはずなんだけどな…。

………

だぁっ!!どこだよクソッ」


そんなポイポイ放り出したら後の片付け大変だよ?
…て声かけようと思ったけど、必死になってくれてるのが嬉しくて、そのまま様子を見ていた。


「あったあった」



嬉しそうにコレだって私にバッと広げて見せたそのトレーナー…

それで小さいの?って聞き返したくなるほど大きかった。


「着とけっ」


ぶわっと放り投げられたそのトレーナーをキャッチする。


「…ありがとう」


とりあえず着よう…。

パジャマのボタンに手をかけるけど頭がボーっとしてるせいか全然はずせない。

はっきり言ってもう動くのも頭下げるのもしんどいわ…。


「も〜いや。みっちゃんやって。」


放棄。もう何もしたくないですハイ。
とことんみっちゃんに甘えてやろう。


しかし年上の彼氏に着替えを手伝わさせる私って……。


みっちゃん目が点だし…。ぷ。


「…おまえホンっっト…ガキな!!苦労するぜ俺は」


ほら、そんな眉間にシワ寄せてばっかいないで早く脱がせてっ

ベトベトだよ…っ



みっちゃんはベッドの前で膝をついて、私のパジャマのボタンを早々と外しにかかる。

長い指があっちゅう間に全部のボタンを外し終えてしまった。


そして私の下着も露わに…。


「あとは自分でやれんだろお姫さま」


みっちゃんはそこで手を止めて私を見上げた。


「せっかくだし…全部やってもらう」


「かぁ!! 俺はお前の母ちゃんか?…ったくよ」


なによ。ちょっと赤い顔しちゃって。エロ寿!!


「早く!!」

足をバタつかせてせかす私。


「へいへいっ」


唇をとんがらして再び私に触れる……。
みっちゃんの指先が直に肌に触れて…くすぐったい。もとい…感じちゃう。


エロいのは私です。ごめんなさいみっちゃん。



文句タレながらも最後に折れるのはいつもみっちゃん。

そんな彼の優しさについつい甘えてしまいがちな私。


でも甘やかしてるのはみっちゃんだし!

そんな彼が愛おしいわけですが……


「…で、コレはどーすんだよ」


コレ?みっちゃんの視線をたどる………
ああ…コレ、ね。



「下着も脱いどこうかな。気持ち悪いし。」


「………俺が?」


「うん。アナタが。」


ちょっと面白がってます私。なんかみっちゃんが困った顔するとさらに困らせたくなるのが私の心情で…。Sの血が騒いでしまうのです。


下着、今日のために可愛いの付けてきてよかった♪
白を基調とした黒レースのブラで、谷間に小さなリボンがあしらってある。

みっちゃんが好きそうな姫系の可愛い下着だ。


「なにためらってんの…さっき裸見てるじゃん…お風呂場で」


「うるせーな!今から脱がせんだからちょっと待てよ」


ちょっとちょっと耳まで真っ赤になってるんだけど??

にやり。


みっちゃんは膝をついたまま私の背に両腕を回した。

まるで抱き合ってるみたい。


手探りでホックを捕らえると、ゆっくり外した。

私の胸が露わになって、明るい照明に照らし出される。


「あ……と、トレーナー…」


「…これ」


トレーナーを手渡す。
どっちもぎこちなくなるのは仕方ないかも…。私も流石に恥ずかしい。
お互いなぜか小声になる。


「おら。手ぇあげろ」


みっちゃんが少し背を伸ばすと、トレーナーの口を開いて私の頭を待ち構える。

珍しく真顔だ。


「はい…」


両腕を上げると、もぞもぞと入り口から頭を外に向けて動かす。
みっちゃんに手伝ってもらってすぐに着替えられた。


「この俺に服の着替えさせるなんて…いい根性してるぜ」


「でもちょっと嬉しかったでしょ?」


「……まぁな。貧乳だけど。」


少し間をあけてからポロッと本音を口にする貴方。最後の一言は余計デス。


「ほれ。早く横になれ」


「うん……。みっちゃんも早く入って?」


「ん」



電気を消しに立って、パチッと電源を落とす。再び暗闇が2人を包み込む。


「みっちゃんドコ?」


まだ入ってこない…。



「…ん、今…」


─ガッ!!─


「で!!!」


…なにやってんのよ、もう…。
どこかにぶつかったらしい。鈍い音…。

「大丈夫…?」


「おー……。いて…」

みっちゃんの声が私の体に降り注ぐように全身の力をほぐしてくれる。

みっちゃんの声は癒されるな…ホント。

みっちゃんが布団にもぐりこんでくる。
どこぶつけたんだろ。
私はとりあえずみっちゃんの首に腕を回して頭をなでてあげた。

「よしよし」


「…………」


そしたらギュッて私の体に抱きついて、胸のあたりに顔を埋めてきた。
こうゆうトコ、すき。

なるほど。この人は電気が消えると大胆になることが分かったわ。


「甘えてる?」


「……俺は疲れたから寝る」


「ハイハイ」


私はにっこり微笑んで、もう一度頭をなでた。ツンツンだな、頭。くすぐったい。



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