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バスルームに到着。
で、脱衣所にて2人顔見合わせてしばし無言。
甘い香りが漂ってる…湯気が篭もってなま暖かい。
「ほら…みっちゃん早く洗ってきてよっ。で、なるべく早く出てね。5分ぐらい?」
「お前な…俺はイモかなんかじゃねぇぞ!そんなすぐ出れるか」
「はいはい分かったから早くして!!」
歯がゆい私は彼の上着を脱がしにかかった。
「あっ?コラ!!自分でやるっての!」
あらら…赤くなっちゃった…どこまでシャイなの?
ああ裸の付き合いも出来ない今、一つになるとかならないとか…そんな話は論外だったね…
これも私の想像してたみっちゃんと全然違ってたところ。
もっと女慣れしてると思ってた。不良だったし…。
「じゃあ外でてるから脱いだら呼んで?」
「は、呼ぶ?!
なんで。」
「入るから」
「どこに?!」
「脱衣所までだよ…もう。そんなに嫌がられてるのに一緒に入れないじゃん」
「…ああ、わかった。じゃ入るから。…出てて」
「はいはい」
私は渋々脱衣所から退散。
脱衣所を出たすぐのとこで扉を背に待つ私。
ガサゴソと衣服の擦れる音が聞こえてくる。…あれ。ちょっと緊張しちゃったよ。
変な想像しそうになった…バカな私。
そして浴室と脱衣所を隔てる扉が開かれる音がした。もういいみたい。
「入った」
浴室から響く彼の声。あ、またなんかドキドキした。声が響くとなんか…違和感あるな…
私は脱衣所にゆっくり入る。
ガラス越しにみっちゃんの背中がぼんやり見える。ああドキドキしてる…
私は胸の辺りを片手で押さえてじっとその背中を見つめた。
いつも見てる背中なのにな。なんか違って見える。
「…優子?」
私が黙って見てるとみっちゃんが話しかけてきた。
「なに?」
「…なんだよ、いるんならなんか言えよ」
…ぷ。
可愛いな、もう。
微笑んだ私の顔を見れるはずもないけど…笑ったら怒るだろうな。返事をする代わりにクシャミが出た。
「っくしゅ!!」
「ああっ
お前風邪ひいたんじゃねぇか?
だから部屋で待ってろっつっただろ?!」
私は鼻をすすりながら背中を睨みつけた。
「1人で待つよりいいもん」
「なんだそりゃ…もう知らねー」
いいもん。待つし!!
それでも体は冷えてるのか時々ぶるって震えてしまう。さっきのコーンスープの効力も切れたかな…。私は自分の体を抱くようにして両手でさする。
で、気づいたんだけど…みっちゃん体洗うの早くなってない?
ゴシゴシの音が速まってるのに気づいた。
急いでくれてる?もしかして。や、そうだよね。なんか流石に罪悪感。許せ三井寿。
けど…あ、また出そう…!
「っくしっ!!」
寒…
目をギュッと瞑ってその場にしゃがんで縮こまる私。
「…………」
あれ、ゴシゴシが止んだ。
みっちゃん黙ってる…怒った…?
そりゃいつも私には優しいけど…あんまりワガママ言い過ぎたかな…。
いくらみっちゃんでも怒るよね…
ここは一つ可愛らしく謝るか。
そう思ってたら、みっちゃんから話しかけてきた。
「…入るか?」
……。え?
その入るかってのは…一緒にお風呂に入るかってこと、だよね。
「…いいの?」
「しょーがねぇだろ。風邪引かすわけにはいかねぇし」
ちょっと間を空けてから返事がかえってきた。
うわ、嬉しいのと恥ずかしいのと半々!!
いざ入るとなるとやっぱり照れる…わけで…。
「うん…じゃ、入る」
私はみっちゃんの考えが変わらないうちに、と着てるものを脱ぎ始めた。
あ…ゴシゴシがまた始まった。なんかわざとらしいぐらいに大きな音たてて…。
脱ぎ終わってとうとう私も産まれたまんまの姿になりました。
「入るよ?」
「あ!!ちょ、ちょっと待て!!」
小声で浴室の扉に手をかけたところで制止の一言。
なに…?
「…い、いいぞ。」
…いいのか悪いのか…。
じゃ、遠慮なく…失礼いたします…。
私はゆっくり浴室に入った。
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