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「一緒に食べよっか」



「…俺はいいよ」



ちょっと渋った顔で言うとまた少し笑った。私の手を引いて少し前を歩く。


最近はこーゆう穏やかな彼の姿をよく見てる。1年前はあり得なかった姿…。
あの時は正直言って怖い人だと思ってたし、実際怖かった。

ホントよく付き合ってこれたなと思うぐらい。



でも実際付き合ってみたら全然違ってた。
私の彼に対する印象は180度変わった…。
怖かったのは強がってたからだって分かったし、ホントはすごく優しいのも知れた。



バスケがまたできるようになってホントに嬉しいんだよね。

よかったね、みっちゃん。


私の手を引く彼の後ろ姿を見ながら心のなかで呟いた。


みっちゃんとコンビニ袋下げて
夜の散歩か。


家まではまだ少し遠いから。



もうホント真っ暗だ。ちょっと本格的に寒いかも…
でも握られた手だけはホッコリ暖かい。ごつごつしたおっきな手。




「ぃっ…くしっ」



ホッコリしたらなんか鼻がムズムズした。


「ぶっ。オッサンみてぇなくしゃみ」


笑われた。



「…うっさいっ」


トンと背中にパンチする。


「寒いんか?」


「うん。ちょっと…さっきから寒気するんだ」



「アホ…だから待ってろっつったのに。お前ほんとバカ。」


むっ
アホとかバカとか言わないでよね…
だいたいみっちゃんが早く帰って来ないのが悪いのに。



「でもほんとバカかも…風邪引いたっぽい…」


家の前まで来たけど、頭がボーっとしてる。


「しんどいんなら先上がって待ってろ。」


そう言われて私はみっちゃんより先に入ってサッサと靴を脱ぐと、彼の部屋へと向かった。

みっちゃんの部屋のベッドにふらぁとなだれこむ私。

ああホントしんどいかも…せっかくのお泊まりなのにな…。
でも今日はいつもみたいに帰らなくてもイイ。


今日は朝までずっとみっちゃんと一緒なんだ……



それを考えるとワクワクする。


早く来て…



彼のベッドに潜り込んで枕に顔を沈める。


今日は、する、のかな。

キスなら何回かした。
けどそれ以上は……ない。


いつもイイ雰囲気になると逃げるんだよね…三井寿は。


なんで?
ホントなんでだろ。
意気地なし…。
私のこと気遣ってるみたいだけど、私は触れてくれないことの方が辛い。




悶々と考えこんでいるとカチャっと扉が開く音がした。


「あ、寝てやがる!」


「遅いぞ三井寿」



「なんでフルネーム…」



ガバッと上体を起こすと、さっきのコンビニ袋と湯気の上がったカップ一つを手にした彼が立っていた。



「それ何?」


「んー?コーンポタージュ」


器用に後ろ足で部屋の扉を閉める彼。


「みっちゃんが作ったの?大丈夫なの?」


「どーゆう意味だ」


バサッとコンビニ袋をその辺に放ると、私の前にそれを手渡した。


「これ飲んどけ」


湯気がフワァと立ちこめて、あったかい。


「ありがと…」



ちょっと照れながらニッコリして、一口飲んでみた。

…これが以外に美味しい。


「おいしい…」


「ったりめぇだ」



得意げな彼。



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あきゅろす。
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