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俺は黙ってしばらく女に抱かれた子猫を見ていた。


「…あの、もしよかったら今度うちに来ませんか?」


予想してなかったことに言葉を詰まらせた。


「テンちゃんもきっと寂しいと思うし三井さんも…。家が近所みたいだから、これからも会いたい時にテンちゃんに会いに来てあげてください」


そう言って女は優しく微笑んでいる。でも一人暮らしの女の部屋に上がっていいもんなんだろうか?

「大丈夫なんですか?俺が行って」


「はい。良い方みたいだし。私人を見る目はあるんです」


…良い方か。


「んじゃ今度…行きます」


俺がそう言うと、女は少し照れたように笑ってからテンを撫でた。



その後俺と女はブランコを漕ぎながら身の上話なんかを少しして、俺がバスケをやってると言うと、今度試合を見に行きたいと言ってきた。


他人とこんなに話したのは久しぶりだ。
女と話すのは面倒で得意じゃない俺だったけど、今回は嫌な感じがしない。
むしろ楽しかった。


こんなに近くに住んでいたのに、テンを拾わなかったら出会わなかったわけで…いや出会っていたかも知れないが、こうしてる今が不思議に思える。


夜遅かった為、俺は彼女を家まで送っていった。

「今日は素敵な子猫を、ありがとうございました」


「……大事にしてやって下さい」


「はい、大事にします。テンちゃん、ばいばいって」


彼女は子猫の手を取り招き猫のようにして手を振った。


「じゃ」

「さよなら」





俺はすっかり晴れた空を仰ぎ、月を追いながら帰った。









雨の日でも
たまにゃイイこともあるもんだな。


俺はぼんやりとそう思う。





END.


アニメのスラムダンクを知ってる方なら見てると思いますが、「世界が終わるまでは」のミッチーが子猫を抱いてる場面が好きで、そのまま妄想が膨らんだ結果こうなりました。

一回は書きたかったミッチーと捨て猫。ミッチーは動物が好きですきっと。そして動物に癒しを求めています。今回はあまりヒロインらしい女性じゃなくて絡みが少なかったと思います…物足りなかったらごめんなさい!!



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