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「…私は……んー年上が好きかな。優子はどうなのさ?」

 私の好きなタイプなんてこの際どーでもよい。

「私は……」
「うんうん」
「背が高くって、190センチぐらいあって、強くてすごく優しくて」
「うんうん(190センチとはまたデカイな)」
「体育会系でバスケットやってて…」
「うんうん…」
「リーゼントで…」
「うんうん……ん?リーゼント?」

 あら?あらら?

「真っ赤で…」
「げ!!!」


 って、かなり具体的な理想像を告げられて、それはもう個人を特定しているようなもんで。


「もしかして…優子はその人に恋をしちゃってたり……」
「どうしよう………夏樹ちゃん……初恋なの…」


 うっそ。本気で?しかも初恋かい。何を血迷ってあの桜木花道?菓子パン一個で熱くなるような男だよ?もろヤンキーだよ?あんな図体ばっかデカくて頭すっからかんの桜木花道のどこに惚れたの………か、聞こうとしたけど。

 真っ赤になって、どうしよう…って、狼狽えてる優子を見てたら、もはや重要なのはそこじゃないなと…。恋に落ちた女は盲目だ。好きな相手が例え赤髪の猿であっても、本人が好きなんだからそれはもうどうしようもないのだ。

「分かった!この私が何とかしてあげる」

 優子の肩をガシッとつかんで任せなさいのポーズ。

「でもっ、でも私ね、桜木君と話したことないしね、男子ともまともに喋れないしね、告白だとかそーゆうのはね…」
「うんうん。分かってるよ!まずは話せる機会を作ったげる!」


 てなわけで早速私は桜木花道を呼ぶことにした。機会もへったくれもないけども。回りくどくいくよりもストレートにいった方が展開は早いしね。
しかし男子とまともに喋れない優子がまたハードな男に惚れたもんだな…。


「桜木ぃー!!ちょっと来て!」
「えっ夏樹ちゃん!ダメ…」
「いいからいいから」


 呼ばれても気づいてない様子の桜木を、水戸洋平が小突いて注意をひきつけてくれた。彼にはどこか落ち着きがある。

 桜木は“俺?”ってポーズをとったので、私はコクリと頷いて見せる。あ、来た来た。って取り巻きまでついて来そうになったのでそこはストップをかける。

 あんな野蛮な連中に優子を囲ませる訳にはいかない。



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