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PM 8:30
“お疲れっした─!!!”
日も落ちて暗くなった頃、体育館に響きわたる部員たちの声。今日もハードな練習が終わった。
「あれ…雨降ってきやがった」
ん?
そーいやザーザーと…。
宮城の言葉にハッとした。
傘なんか持ってきてねぇぞ…
つか天気予報じゃ今日1日晴れじゃなかったのか?!
なんのための予報だよフザケやがって。
「三井サン、あんた傘持ってきてる?」
「あ? ねーよ。」
「……使えねぇ…」
「俺を使うなボケ!!
…そー言うお前も持ってねぇんだろが?」
「ねぇよ…。ああもう濡れて帰るっきゃねぇか…」
ああダリィな…。
帰ったらババァにどやされるぞ…。
俺は前にも一回びしょ濡れで帰ったことがあったが、そん時ババァにキレられた事を思い出した。
「なんだお前ら、傘ねぇのか?」
「おう花道。 お前傘持って来たか?」
アホか宮城。こいつが持って来てるわきゃねぇだろう。ニュースも新聞も見ねぇ桜木が天気予報見てるわきゃねぇ。
マメにチェックしてた俺ですら…
まぁ今回は予報が外れたわけだが。
「持って来てるぜ?」
「何??!!」
俺と宮城は同時に叫んだ。
「なんで?!」
「なんでってリョーちん……雨が降る予感がしたから?あと天才だから。ナハハハハハ!!!」
いや…お前はアホに違いはねぇが…
「野生のカン」
「ぬ…?……あ!! 流川!!」
おいコラ。また始める気か。
付き合ってらんねぇ…。
「おい桜木!俺と相合い傘して帰ろーぜ」
濡れて帰るよりはマシだ。
俺は桜木の肩に腕を回した。
「いや、俺と帰ろーや花道」
宮城の野郎が桜木と腕を組む。
「なにやってんのアンタたち。仲良しねぇ?」
「彩ちゃん?!」
おうおう宮城…好きな女に声かけられただけで赤くなりやがって。
恥ずかしい奴め。
「リョータあんた傘ないんでしょ。いいわ。私が入れてってあげる」
「え?!! ま、マジ?!」
「良かったじゃねぇか宮城。サッサと2人で仲良く帰りたまえ。つーことで桜木、行こうぜ」
「うむ。じゃあミッチーは入れてやろう。あ。流川、お前は頼んでも入れてやんねぇかんな!!!」
「誰が頼むか、ドアホウ」
「何?!!」
あーまた始まった!!
なんでオメェらはいつもいつも…。
世話の焼ける1年坊だぜ…。
「オラ。遊んでねぇで帰んぞ桜木」
「おう」
俺らがダベってる間に雨の勢いは増して帰る頃にはザザ降りになっていた。
天気予報士呼んでこい!!!
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