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可愛いあの子の好きな人は。
赤いリーゼント頭の不良でした。
触れてみたい人
女が憧れる理想の女の子って、好みがあるだろうけど。
私が憧れる女の子の理想像ってのは、まず背が低くて(私はデカい)、150ぐらいしかなくて、軽くて(私は決して軽くはない)、目なんかキラキラしてて垂れ目で(私は化粧濃いし汚れてます)、髪の毛は栗色で風にサラサラなびくストレートのロングヘアーで(私は毛先の傷んだショートヘアー)
……雰囲気はふわふわの綿菓子みたいな。要するに私と正反対の、っつった方が断然早いと思うんだけど。
でもそんな理想の女の子は、実際に私の身近に存在しているわけで。私の友達だったりする。
岡島優子。彼女はまさに上の例に出した理想像を形にした女の子なんだと思ってください。
私は結構大雑把な性格で、割りと活発な方だと自負しているんだけども、優子は内向的でとても恥ずかしがり屋さんだったりする。こうも正反対の人間同士だと、逆に上手く付き合えたりするもんだ。
私と優子は正反対だけども、仲が良い。
なぜか私を頼りにしてくれていて、よく悩み事なんかを聞いたりする。
今回の悩み事はかなり深刻そうで、優子の表情は今朝から曇りっぱなしだ。
「どしたどした。元気ないね?」
「夏樹ちゃん……私、変なの」
「ん?優子は変じゃないよ。“変”って言うのはね、アソコでギャーギャー騒いでる連中みたいなことを言うんだよー?」
変っていうか、うるさいっていうか。あーうるせぇ…!!
ロッカーの側で、一つの菓子パンを巡って本気の死闘を繰り広げているのは桜木軍団と言われているアホの集まりだ。
主に桜木花道とその取り巻きである高宮のデスマッチ。よくたかが菓子パンごときにアソコまで必死になれるわ。
けどあいつらの観察は面白い。
あいつらの会話には脈絡もルールもへったくれもないから。真面目に聞いてるとたまに吹き出してしまう。男子って基本的に訳が分からん。
私がぼんやりとアホ集団たちの取っ組み合いを観賞している側では、優子が眉をハの字にして頬杖をついてる。
思い悩む姿がまた可愛らしい。
「夏樹ちゃんの好きな人のタイプってどんな人…?」
へ?あ、あたし?
急にそっちネタがくると身構えてしまうわ…。
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