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「……ん?どした?」

俺の可愛い可愛い彼女の顔が、さっきからアップで俺を見つめてくる。


「リョータ、」



そして彼女が唐突に、俺に言った言葉は。


“リョータのしてるピアスとお揃いの、私もしたい”


これがキッカケで彼女がピアスを開けることになった。

…けど、自分で開ける勇気がないと言い出して

結局は俺が開けることに。





「…痛い?」


「痛くないよ」


「ほんと…?
絶対に……?ぜんぜん痛くない?」


「……ちょっとは痛いかな」


下手に嘘はつけないからここは正直に言っとこう。


「怖い…」


「やっぱヤメる?」


さっきからこの調子で、押し問答だ。



「やめ…ない」


きゅっと下唇を噛んで、俺の袖を引く姿が愛おしくてたまらない…
俺の顔もついついゆるんで、微笑んでからそっと撫でた。


「お。さすが優子。じゃあ開けるからこっちおいで」




俺はそう言うと、あぐらをかいてその場に座る。

「うん」


彼女は決心した顔で、ゆっくりと俺のそばへやって来る。



「ここ座って?」




そしてピアッサーを手にしてから、床をポンポンと叩く。


「…うん」


彼女は言われた通りに、俺のすぐ前へ可愛らしくちょこんと座った。

「んじゃ開けるよ?」


「…いっきにやっちゃって」


「あいよ」


彼女の肩まである髪を
片方の肩に流してよけると、そっと耳朶をつかむ俺。


したら、彼女の肩がビクッと揺れたのが分かった。


「ちょっと待って!」


「やっぱ怖い?」


ニィと笑って顔を覗きこんだら、情けない顔を上げて足をジタバタさせてる。


「リョータ、絶対痛くしないでね?」


痛くしないでって…耳に穴開けるんだから絶対ちょっとは痛いんだけどな…


「ちょっと痛いのはガマンしなきゃダメだよ?」


「…どんな痛さ?」

んぁ―…
俺は彼女の不安を和らげるために妥当な言葉を探した。



「注射みたいな感じかなぁ…後からジンジンくる」


「…注射……」



まさしく今彼女の頭んなかでは、あの細い針先が巡ってるんだろう。眉毛が早くも痛そうにしてる。

見かねた俺は彼女の髪を撫でた。彼女が不安だったり寂しがるときは、いっつもこうしてるから。


子供みたいで可愛い。


「もーいけるかな―優子ちゃん?」


「やる!!」




俺は再度、彼女の耳朶をつかんでピアッサーを当てがった。


「………」


相当怖いんだな…
俺の足をつかんでくる。



「優子?」


「なに?」


バチン



はい、できたっ



彼女が唖然とした感じでゆっくり俺の方を振り向く。


「…え、開けたの?」


「うん。あけた」




これぞ、ふいうち。


「…すごいリョータ!!
痛がる間がなかった」


そんな嬉しそうな顔して見てこられたら、ニッコリ笑い返すしかないよな…
ほんとなんでそんなに可愛いの?



「だろ?
そんな痛くなかったっしょ?」



「あ…でもジンジンしてきた…っ」




「んでも大丈夫。あとは俺が痛くないようにしたげるから」


「どうやって?」




「こうやって」





俺から優子へ愛情たっぷりのキスをあげる。








首筋



鎖骨



最後にもう一度、深い口づけを―…



「まだ痛い?」






END.

だいぶ短めになりました(′Å`;)

リョータは自分でピアス開けるときは、何のためらいもなくひと思いにガツンと開けていてくれたら素敵。たぶんそうだと思います(*´ω`*)



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