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そんな意外とシャイな一面を垣間見た私は、折角のこの貴重な三井寿と過ごす時間を楽しむことにした。不良だし言葉も悪いから、てっきり本当に怖い人なのかなと思っていたけど、今のところそんな印象は受けていない。いや確かに私に向けられる目付きや言葉は酷いものだけど、私には何となく分かった。私の人を見る目というのは自分でも自信がある。

なぜかは分からないけれど直感で、この人は悪い人じゃないとそう思った。
そう思うと三井寿が学校を休みがちだったり、悪そうな人たちと連るんだりする理由が気にかかった。どうして悪ぶるんだろうか。私は思いきって聞いてみることにした。

「あの、三井君はさ、その…」
「は?」
「その、なんで学校に来ないの?」
「…どーでもいいだろそんなこと」

どーでもいいのか?よくないから聞いてるのに。

「どーでもよくないから聞いてるの」
「……べっつにダルいからだよ」
「三井君はクラスで友達いる?悪そうな人とばっかり一緒にいるよね」
「うるせーな…」
「友達になろうよ」
「……………」


三井寿の手が止まり、私の目を真っ直ぐに見てくる。その目は隙をつかれた動物のように純粋に見えた。

目を丸くして、瞬きも忘れて、呆気にとられている。私も“友達になろう”だなんて、今どき中学生でも言わないような台詞を何で口にしてしまったのか分からなかった。けど、仲良くなりたいと思った。
それ以上に…もっと深く三井寿を知りたいと思ってしまったから。でも後から冷静な自分が顔を出してきて、急に恥ずかしくなってまともに相手の顔すら見れなくなった。そんな私を見て我にかえったのか、三井寿はさらに気恥ずかしそうに咳払いをした。

「バッカじゃねーの」
「嫌ならいい…」
「……」
「お前なまえ…」
「え?」
「なまえ何てーの?」
「……夏樹」
「ふーん…」
「てゆーか名前知らなかったんだ?」
「…」

それっきり三井寿は何も言わない。

「それで?それだけ?友達になってくれるの、くれないの」
「…お前、俺のこと怖がってただろ」
「…今は別に怖くないよ」

三井寿は不服そうにしかめっ面をしたまま私を睨む。


「それに三井君て優しそうだし」

これには三井寿はギョッとして口を開けた。

「…そんなこと分かるかよ。変な女だな…」
「うん、自分でも不思議。こんなに普通に話せてるのが」

私は笑って、三井寿は慌ててから目を反らした。



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あきゅろす。
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