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人間って、とことん残酷になれる生き物なんだ。人がどんなことされたら壊れるのか、分かってる。簡単に人の心を傷つける手っ取り早い方法を、まだ16歳の子供でも知ってる。
けどさ、やり方に品がないのよ。あとバリエーションが少なすぎ。今時さ、下駄箱にゴミ入れるとか古いっつーの。ん?なになに。
私はジュースのパックやら菓子パンの袋やらストローやらを一つの袋にまとめながら、一枚の紙切れを手にした。
「死ね、か」
笑っちゃうね。ほんとに死んだらどうすんだろね。遺書にあんたらの名前書いて、屋上から私が飛んだら。
あーアホらし。
悪意の込められたメッセージはただの紙切れにしかすぎない。こんな紙切れ一枚に私の人生左右されてたまるかって。
ゴミの中に押し込んで。汚いものは全部ちゃんとしたゴミ箱に捨ててやった。ゴミはゴミ箱に捨てましょう。
教室に戻ろうとしていたとき
誰かにドンッと背中を押された。私はふらついて、倒れた。
「ぷっ、ダサ」
「男といちゃついてんじゃねーよヤリマン」
彼女らは捨て台詞をへたり込んだ私に浴びせかけてパタパタと廊下を走っていった。"男と"って洋平のこと言ってんのかしら。私はヤリマンなんかじゃない。処女だっつーの。
よいしょ、と。さっさと帰っちゃおう。
もう後の授業も受ける気なくして、カバンを教室に取りに行った。したら洋平がいた。女の子と。
だから教室には入れなかった。入れる雰囲気じゃなかったから。
私は泣いた。
なんか疎外感。
苦しい。
は?何泣いてんのアンタ。
バカじゃない?
嫌がらせされたのなんか別に痛くも痒くもない。
悔しくなんかない。
けど洋平だけは。
居場所を取られたような気がして。
胸が傷んだ。
息ができなかった。
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