「あ、これ。借りてた物理のノート。すっごい分かりやすく書いてあって助かったわ。サンキュー」
「ああ。もう帰るのか?」
「んー私もちょっと見学してく。邪魔になんないようにあっちで。たぶんすぐ帰るけど」
「そうか。帰り、気を付けろよ」
「うん。ありがとう。木暮も練習、頑張って」
「ああ、頑張るよ」
木暮の額を伝う幾筋もの汗の向こうでキラキラって輝いてる笑顔が素敵。然り気無く優しい木暮はいい男。そりゃあのメンバーの中じゃ目立たないかも知れないけど、私は木暮の魅力をいっぱい見てきたから。
自信もって言えるの。
木暮はイイ男だって。
最高にイカシテル。他の誰よりも。
「声出していくぞー!!」
ふは
張り切ってる張り切ってる。
「木暮ー!!ファイトー!!!」
私の想いは声援に託した。
ああ、あの子たちが木暮の魅力に気付いてなくて良かった。
私は木暮を好きで良かった。
私はしばらく見学してから、そっと体育館を後にした。群がるオーディエンスに言い残して。
「やっぱ木暮がいちばん素敵」
End.
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