姉が嫁に行き、家を巣だっていった頃、俺は高校生になった。
“お母さん”から、“母さん”に変わったのは確か小学校高学年ぐらいだっただろうか。俺の記憶も曖昧なものだけれど。
高校生となった今では、同性の友人に対して自分の母親の話題に触れるときなんかは、“俺のお袋が”などと言うこともある。
俺はあらゆる意味で大きく成長した。
幼少時代は小さかった体も、今では身長が桁外れに伸び、ガタイも随分と良くなった。声変わりもして、そのことを母親に喜ばれたものだ。
母親好みの良い男に成長したらしい。そしてやはり俺の顔は父親に良く似ていた。そのことを母親の口から聞くと、どうしても気分が悪くなり、自分の顔が嫌いな時期もあったりした。
俺にも多感な時期は訪れて、思春期を迎えたけれど、母親に辛くあたったり、口答えすることはやはりなかった。
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