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私は臆病者だ。皆と少しだけ距離を置いて付き合ってるなんて格好つけたこと言ってるけど
ほんとは怖いだけじゃん。


机に向かってシャーペン握りしめてノートを睨み付けた。文字が歪んで雫が落ちたら綺麗に染み込んだ。


「俺、帰るけど。いいんだな?」
「………っ……っ」
「お前一人で帰るんだから俺先帰っていいよな」
「………三井ぃ…っ」
「何だよ」


もういいよ。どうせバレバレだよ。泣いちゃったもん。三井の顔を見上げたら、勝ち誇った顔してニカッと笑いやがった。


「これ使うか?」
「いらん!!」


三井の汗の染み込んだ使用済みタオルなんかいらん!!


「んだよ。臭くねぇぞ言っとくけど!なんなら嗅いでみるか?」
「いらんのじゃボケェ!!三井のアホ菌が移るわ!!」
「あ……今俺傷ついた…繊細でガラスのよーな心が」


もういいよ。こんなアホな男。なんでこんな奴好きなんだかな……悔しいぃ…ほんとに悔しい…。


私がもう一回、三井にアホって言おうとしたら、三井菌に侵食されていた。私の体が。


「泣くなよな…。お前みたいな女でも必要以上に可愛く見えちまうじゃねぇか」
「なにソレ。臭すぎてキモい」

痛!! なにも頭はたくことないじゃん!アホな上に暴力ふるうなんて…


「俺がこんだけアタックしてやってんのにお前アホだろ?」
「あんたにアホって言われたら私も終わりだわ……」


三井の腕が優しい。三井の体が熱くて心地よくて。実際、臭くなんかなくてすごくヤラシイ匂いがした。男が女を誘うフェロモンみたいな。


私は完全に酔ってしまって。
頭クラクラして。三井が好きで。ずっとこのまま抱き締めていて欲しくて。


「三井のアホ菌って強力だわ…」



また頭はたかれたけど。



痛くないから全然。



三井に好かれてることが嬉しい。



私、三井のこと好きだ。












私の見えないバリアをぶっ壊した三井は、黙ってればめちゃくちゃカッコいいのに。


喋らせたらやっぱりどう考えてもアホで。




やっぱり愛しい。












End.

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あきゅろす。
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