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下敷きを三井に押し付けてあとは無視を決め込むことにした。


「なんだよ怒りっぽい女だなー可愛くねぇの」


はいはい。言ってろ言ってろ。

「無視かよ」


そーだよ。早くどっか行って!!


「で?」
「あ?」
「あんた。そこで何してるわけ?」
「何って、見て分かんねぇの?」
「………」

いや、何で私の隣の席に(上半身裸のまんまで)腰下ろしてじっとこっちを見てんのかって聞いてんのよ。

私は呆れて無言のまま睨んだけど。いちいち相手にしてたら日が暮れそうだし前を向いてひたすら集中した。けどさ…
上半身裸で隣に居座られてさ、熱い視線寄越されてちゃ集中できないのよ…。


「三井さ、部活終わったんなら早く帰れば?てか制服に着替えれば?まず」
「待ってやってんだよお前が終わるの」
「なんで?!」


なんで待つわけ?ねぇなんで構うわけ?毎回毎回。なんで私に構うわけ?!


「なんでってお前一人で帰んだろ?危ねぇじゃん」
「危なくない!!私は大丈夫です!!てか、服!服着て!!」
「……………」


ちょ、ほんとヤメテ。こいつ訳分かんない。ほんと調子狂う。私の平穏な日常が崩れてく。もードキドキドキドキうるさいってば心臓。止まれ。最悪最悪なんなのこの男…!!


「お前さ」


私は苛ついて何って思い切り三井の方を睨んでやろうとしたらそこには三井の顔のドアップがあった。


「俺のこと好きなの?」


その時、一瞬だけ確実に、私の心臓は止まったと、思う。私の世界が一瞬だけ止まった。


「お前さ、俺と話す時だけ早口になるだろ」


なに言ってんのこいつ。変な言いがかりは…


「三井。顔、近い、んです、けど」


三井の体温がどれだけ熱いのか、分かる気がする。これだけ近くにいて、やっと相手の熱が、息遣いが、伝わってくる。


「なぁ。好きだろ。俺のこと」
「き、嫌い」
「じゃあなんでそんな顔赤いわけ?リンゴみてぇに」


私は顔を両手でしっかりと隠した。全部、シャットアウト。私は、こうゆう類いの男は心底苦手で今までずっと避けてきたんだから。ダメなの。三井寿は。苦手なんだってば。

「お前……そんな可愛かったっけ?」「は?!あんたとうとう頭腐ったの?!!」

そうか私の耳が腐ったのか。この暑さと三井の奇行に、私の神経がやられたか。私は顔を覆ったまま俯いた。今もまだ、きっとリンゴだろうから。




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あきゅろす。
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