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私、あの時本気で、傷付いたんだよ。
Be not not lovely but bad.
私と三井は、あの教室での一件から付き合うことになった。付き合うことになったって言っても、私たちが仲良くなったわけじゃなくて。
顔を会わせたら喧嘩ばかり。
それは私が素直じゃないから。わかってる。わかってんのそれは。
私が素直じゃないから三井は私に優しくない。
三井が私に優しくないから私は素直になれない。
まさに悪循環で。
「夏樹、三井君呼んでる。ほら」
私が机に突っ伏して、寝てたらゆかりに起こされた。休み時間の貴重な睡眠を…。
「いいのいいの。どうせつまらん用事なんだから」
そう。どーせまた私に肩叩けだの揉めだの暑いから下敷きで仰げだのとパシリに使う気なんだろーからさ。私は彼女じゃなくてアンタのメイドかいって…。
私がもう一度机に突っ伏してたら。頭に何かコツンと固いものが当たった。何だと思って見てみたら足元に消しゴムが…。
消しゴムぶん投げたわね。
ヒットさせるとこがまた憎い。
狙った的はネットであろうが女であろうが外さないって感じで…。
「そこの女男呼んでくれ!」
ちょ、声でかいって!勢いよく顔を上げたら教室の入り口で“早く来い”って威圧感たっぷりの目で私を呼ぶアホ菌三井が扉に寄りかかって立っていた。
これ以上大きな声だして女男だのと呼ばれたくないので、素直に従うしかない…。
「お前、呼んでんの気付いててまた寝ただろ!」
「で、なに」
しっかしデカ…。見下ろされて怒られたらやっぱいい気はしないもので。ほらほら入り口塞いでるから山田君入れなくて困ってるじゃない。山田君はこのアホ菌と違って大人しくて女子に優しくてすごく良い人。
私は山田君、結構好きだと思ってたから。なのに180度性格違う三井が彼氏になって、ほんと恋愛なんてノリと勢いなんだなぁと思いました。
「あ、ごめんね山田君。こんなデカいのがいちゃ邪魔でしょ?ほら、どいたげて」
「あ?」
「や、いいよ!向こうから入るし…!」
「だとよ」
山田君が怖がってんの分からんのか己は。私は三井の背中をドンッと押して教室から追い出した。
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