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[15]下心に出来心


触れた背が私の手をそれとなく避けるようにして流川君は振り返った。怒ったのかと思うほどに歪められた眉根に見開かれた切れ長の目は、私を猛烈に凝視した。バイト君を食うなよ、との井上ちゃんの仰せ付けを思い出して吹きそうになる。まさに、“食われる”危機感をもって流川君が後退ったように見えたから。

「……は?」

「したくなった。君と」



目と目が合って、私から距離を縮めた。

あと、数センチ。もうすぐに唇が触れるという距離になって、流川君は私の肩を押した。



「触んな」

「......!!」



私は、心臓を掴まれたようにビクッと揺れて止まる。流川君は目を丸くする私を睨みつけている。

「ご、ごめん」

あまりの気迫につい...謝ってしまった。プライドが傷ついたとか、そんなことすら考える余裕を
与えない程に、流川君の声は冷たくてはっきりしていた。
私は浅はかで、下品な自分が...猛烈に恥ずかしく思えて、顔が熱くなってそれ以上流川君の顔を
まともに見ることはできなかった。

バタン と扉が閉められた音で我に帰る。私、何やってんだろ。
フロントガラスの向こうに目をやると、流川君は一度も振り返ることもなく歩いていく。

あの子、もう来ないかも。刹那的にそう思った。








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訳あって、ここまでで更新が止まっていましたが(何年も前...)、
少し書き直して、次の頁から2015年に書いた文章になります。
ここまでかなりグダグダで読みづらくてすみませんm(_ _)m
次の頁からヒロインの性格がやや変わっていたり書き方が変わっているかも知れません...陳謝。
2015,3,26

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