[1]プロローグ
長いようで短かった夏が終わって
流川は全日本ジュニアの合宿から帰還した。
インハイが終わったとしても目まぐるしく過ぎていく日々の中、更なる現実的問題が浮き彫りになる。
それは、進路の問題だった。
安西監督との約束通り、高校生でナンバーワンにまで上り詰めたなら。すぐにでもアメリカに飛ぶつもりでいたが、それが先伸ばしになってしまった今、新たな目標を打ち立てなければならなかった。それでも、
インハイで夢が潰えたとしても、流川の確固たる目標は微塵も揺らぎはしなかった。
――アメリカに行く。
それは消えない。ならこの日本に居られる時間を、有効に使えばいい。留学するにも金がいる。留学するのであれば勿論一人で暮らすことになるし自活していかなければならない。
二年に上がればまたインハイに出場するのは大前提にあるが、流川の目線の先にはもっと大きな目標ができていた。
全日本の合宿に参加してから、流川の見る世界が変わってきていた。
そして、自分なりに色んな問題と対峙してみた結果、バスケットばかりしていられないことに気が付いたのだった。資金が必要だということに。
早急に、という訳ではないが、早いうちからコツコツと貯めていかなければ、その機会がやって来たときに自分は身動きが取れなくなる。そう考えた。
親からの援助は一切受けない。
そう心に誓ったからには、自分で稼ぐしかなかった。
初めてのアルバイト
―――まさか、AVショップでバイトすることになろうとは……夢にも思わなかったのだが...。
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