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絶対分かってないだろ…



「ああ、分かるっ。すごく分かるわ。彼ってそんな感じ」

 そう言いながら笑っている。

 ゼルは、そんなシエンナの笑顔を見て思うのだった。

(笑えば可愛いのに……)

 形は違うが、スコールと彼女はどこか似ている気がする。あのキツイ性格の角が取れたなら、もっと色んな人間から好かれるだろうになと思う。でも、スコールが突然優男になっても不気味だ。

「彼ってほんとカッコイイわよね。足なんかもスラッと長くて」

「ああ。男から見てもあいつはイイ男だと思うぜ」

 ゼルが、スコールになら抱かれてもいいと思ったことがあるのは彼の中で永遠の秘密らしい(いつの話なんだか)。

「ねぇ、あの額の傷って?」
「ああ……それ、本人の前ではあんまり触れない方がいいぞ。機嫌悪くなるから」
「そう、よね。端正な顔にあんな大きな傷が出来ちゃ」
「違うんだ(いやそれもあるだろうけど…)」

「え?」

 ふと思い出す。スコールと同じ、額に傷を負った人物の顔を。ゼルは、「まぁ色々な」と言葉を濁して苦笑した。

「ふーん」


 シエンナは、両足を交互に揺らしながら遠くを見つめている。静かになって、俯いていたゼルがハッとして頭を上げた。すっかり忘れていたのだ。当初の目的を。こんな呑気に話し込んでいる場合ではなかった。


「スコールはダメだからな!?」


 ゼルは凄んで強く言った。シエンナは肩を小さく揺らして、ゼルを見た。その目は“どうゆう意味よ”と言っている。

「あいつは今好きな女がいるんだからな!?」

 またか、とシエンナは溜め息を吐いた。セルフィにも言われた上に、変な考えを起こすなと釘まで刺されている。

「分かってるわよ……」


 彼女の機嫌を損ねたらしく、シエンナは「私、部屋に戻るわ。おやすみなさい」と言って帰ってしまった。


(あいつ……本気でスコールに惚れたのか)


 まずいことになったな、と思った。本当にこれは頭を抱える問題だ。あの二人がギクシャクしだすのが目に浮かぶようだった。(ゼルが気付いていなかっただけで、もう既に問題は起きていたのだが……)

 絶対にとばっちりがくる。

 ゼルはベンチにだらりと体を預けて天を仰いだ。



(結局……何やってんだよ俺)






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...(執筆中)

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あきゅろす。
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