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一抹の不安


 スコール一人を学園長室に残して一先ずさきに退室した三人は、学食へとやって来た。シエンナの為の学園案内中だ。セルフィが先頭を悠々と歩きながら各施設の説明をして回る。その後ろを沈黙の気まずい二人が続いていく。

「で、ここのパンは競争が激しくて〜」
「ねぇ……セルフィ」

 そんな二人をお構い無しに話を進めるセルフィに痺れをきらしたシエンナが小突く。

「パンの話なんかどうでもいいからさ!ほら、紹介してよ」
「ほえ?」

 案内に夢中になっていたセルフィは一瞬だけポカンとしたが、焦れったそうな視線でリノアを指すシエンナの様子で意味を理解した。

「ああゴメンゴメン♪紹介するの忘れてたね〜」

 コホンッとシエンナが咳払いをして背筋を伸ばす。リノアにも緊張が走る。

「この子はリノア・ハーティリー。ティンバーからちょっと訳あってバラムに来てるの。今はバラムガーデンで一緒に生活してるんだ〜」
「へぇ……ティンバーの人なんだ」

 シエンナは、頭の先から足の先までをじっくりと見てから「私、シエンナ。ヨロシク」と素っ気なく言った。それにつられて慌ててペコリと頭を下げるリノアはどこか居心地が悪そうだ。



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