意気地無し
「おい…っ」
腕の中から逃げようとするスコールの髪を撫でるリノアの目は優しい。
「照れない照れない。
もうガマンしないで、スコール」
「ガマンなんて……」
「いつもカッコ良くてクールなスコールでいなくたっていいんだよ」
「……」
「ちょっとは気を抜いて、私に甘えて?今こうしているみたいに」
スコールは戸惑った視線をリノアに向ける。
(俺は、ガマンしていたってことなのか?ずっとこんな風に触れあうことを心の中では望んで。けどそれはいけないことだと思っていたんだ……)
想いが強くなればなるほど、その感情を抑えてしまう。それはスコールを縛っている見えない鎖がそうさせていた。
“リノアの声が聞きたい。そう望まなくてもリノアは話しかけてくる。目が合えば微笑んでくれる。今まで彼女の仕草に俺は何度救われただろう”
「スコールはずるいよ」
「……そう、かも知れないな」
そう言って落ち込む姿には、正直リノアも驚いた。お酒が入っているせいもあるだろうか……スコールは素直にそう応えた。
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