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[7]キザ野郎に春の予感
〜思いつきのネタ〜
キザ野郎に春の予感

バトル野郎、キザ野郎に絡まれるの巻、その後。





校庭、学園祭ステージ前にて。

キザなSeeD、以降キザ野郎は、一人ステージ前に佇み風に当たっていた。
そして想い人の少女と、彼女に関わる邪魔な面々を思い浮かべていた。

(あいつらにはいつか恥をかかせてやる。魔女を倒した功績を盾に、いつまでも偉そうにしやがって・・・)

まったくお門違いな私怨だったが、彼が根に持っているのはそれだけが理由ではなかった。

「ここにいたんだ」

声がかかりハッとしてその方を見れば、ゼル調査委員会で馴染みのポニーテールの女子生徒が立っていた。

「なんだお前か・・・」

「あんたねぇ・・・司令官に喧嘩売るのやめなさいよ・・・。噂で聞いたわよ。あの司令官に食ってかかって・・・」

言い負かされていたとは言えずに口を噤む。

「別に喧嘩売ってない。」

「・・・。まあいいけど、怪我治った?口のとこの痛々しいやつ・・・」

そう言ってキザ野郎の顔を覗き込もうとするポニーテール少女。
それを避けようと顔を背けるキザ野郎。

「なんていうかさ、あんた色んな意味で痛々しくて見てられない時があるわよ。」

「ほっといてくれ。」

キザ野郎は吐き捨てるように言う。

「・・・私には冷たいわよね〜。」

「興味のない、親交を深めるメリットのない人間と話してもしょうがないからな。」

少女は溜息を吐く。

「ま〜たメリットがどうとか言ってるの・・・。」

そんなんだから友達できないのよ、と思うのだがそれも言わずに置いた。

「何か用か・・・?用事がないなら一人にしてほしいんだけどな。」

「様子、見に来たのよ。あの子に告白して振られて、それから元気ないみたいだし、顔の傷も・・・」

「うるさいな!!おまえに関係ないだろ!?」

キザなSeeDが叫ぶ。少女はビクッと肩を揺らした。

「・・・そうだけど・・・。」

少女が小さく呟くと、キザ野郎は頭を抱えて崩れるようにしてその場に座り込んだ。それを心配そうな面持ちで一緒にしゃがんで、彼の背中に手を添える少女。

「なんでこう・・・上手くいかないんだよ!!俺の何が悪いって言うんだよ!!優秀なこの俺の・・・!!」

(いや・・・あんたのその人を見下した態度とかその他諸々が・・・)

少女は心中で軽くツッコミを入れながらも、彼の背を優しくさする。


「ねえ・・・、また関係ないだろって怒られるかも知れないけど・・・
助言するとするなら、もう少し自然体になってみたら・・・?
(私と話す時みたいに・・・。)」


「・・・・・・」

「あんたさ、時々片意地張り過ぎているのが傍から見れば丸分かりだったりするし・・・。そういうの疲れないの?」

「・・・疲れるだって?俺はこれが自然体なんだよ。」

それはそれですごいなと少女は思った。キザ野郎は頭を抱えたまま縮こまる。そして篭らせた声で続ける。

「なんなんだよ・・・どいつもこいつも・・・・・・くそおおおっ・・・っ・・・うう・・・っ」

「!?ちょっ・・・何も泣かなくたって・・・(ほんとに情けない男ね・・・)」

「泣いてねえよ......!!ううっ・・・くそおおおおお・・・っっ」

(いや、泣いてるじゃん・・・。)

はぁ、と少女は溜め息をつく。

「・・・。・・・よしよし。そのうちいいことあるわよ・・・。元気だしなさいよ。私が構ってあげるからさ・・・。」

そう言いながら背中をさすってやる。

「・・・・・・」

「・・・・・・」





キザ野郎の鼻をすする音はしばらく続いたが、やがて落ち着いて
それでもしばらくは二人の間に沈黙が流れていた。
それは息苦しいものではなく、どこか心地好いような・・・

時折ふきぬける突風は、まるで春風のようだった。







キザ野郎の青春



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