壁ドン
〜思いつきのネタ〜
壁ドン
アーセルの場合
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「アービン。また女の子とデートしたんやってな。目撃者がおるから言い訳はいらんで。……楽しかった?」
「……してないって……」
「目ぇ、泳いでるで」
「……し…たけど……デートじゃないんだって……」
「どこで、誰と、どんな遊びをしたん?」
「……バ……ラムの……」
アーヴァインが言いかけてセルフィが詰め寄り始める。そして壁際へ追いやり、アーヴァインの股ぐら目掛けて振り上げた右足ストレートが伸びた。
そして股間の、急所のすぐ近くにその足は蹴り込まれた。
ドスッ!!
「認めるんやな」
「……ごめんなさい……ほんとうに……心から……」
「アービン……いつまでチャラチャラするつもりなん?
ほんまに嫌いになるで……」
「……もう二度としない……」
「次やったら目玉くりぬくで……」
「……それはだめ……(画的に怖すぎるから…)」
手頃な位置にある腹ぐらを掴むセルフィ。
「大事なところが再起不能になるか……」
「!!!もう絶対!!絶対にしない!!誓う!!」
このアーヴァインの絶叫ともいえる叫び声が聴こえたのか、通りすがりの可愛らしい女子が彼に声をかけた。
「アハハ!どうしたの〜?彼女と痴話喧嘩??仲良くしなきゃだめだよ〜アービン!」
そう言い残して去りゆく女子。かなり空気が読めていない。
アーヴァインとセルフィの間にトラビアからの冷たい風が吹きすさんだ。
「アービン、だって……。可愛い子やんな今の子…………誰」
「……ちがう。ちがうって」
ドスッ!!!!
「ぐっ・・・お・・・」
セルフィは壁ドンではなく渾身の腹パンもとい腹ドンを炸裂させた。
THE END
スコリノの場合
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この日、二人は朝からデートをしていたが、夕方頃になって、些細なことから言い争い喧嘩をしてしまった。そしてデートの帰り道、二人は無言のままでリノアが先を行き、スコールが少し後ろを行く形で歩いていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
スコールはうつむき加減に考えながら歩く。そして思い切りをつけると勇気を振り絞ってリノアの背中に声をかけた。
「リノア……」
「…………」
(………無視かよ。そっちがその気なら俺だってもう一言も話さないからな…。半永久的に。)
(……思わず無視しちゃった……
はぁ……なんでいっつもこうなるんだろ。喧嘩ばっかりして……泣きたくなってきたな……)←だいたいの喧嘩の発端の人
二人はひたすらガーデンに向けて歩く。通りすがる人たちはこの二人の重苦しい空気を振り返って二度見して行く。
「…………」
「…………」
そのとき、リノアの前方から物凄い勢いでTボードを乗り回して向かってくる少年の姿がスコールの視界に入った。通行人は皆少年を避けている。
このままだと確実にリノアとぶつかるだろう。しかし、リノアは俯いていてそれに気づかない。
スコールは咄嗟に腕を伸ばしていた。そしてリノアの細い腕を掴んで引き寄せる。リノアは唖然とした。
「わっ」
「…………(しまった。体が勝手に……)」
気まずさにすぐに手を離すスコールに、頬を赤く染めるリノア。
しかしまだ沈黙状態は解けておらず、また振り出しに戻る二人だった。
(びっくりした……。でも、それはそれ…これはこれよ……)←動揺して謎の発言を脳内で繰り広げる
「・・・・・・」
「・・・・・・」
横に並んで無言で歩き続ける二人。
「ね、ねぇスコール」
リノアがスコールに声をかけてみる。しかし、スコールにはさっき無視をされた借りが残されている。彼は無視をし返した。スネた子供である。
スコールの横顔を見上げて唇を噛み締めたリノアは、小走りに駆けた。
スコールが若干動揺する。
(もう知らない!!先に帰ってやる!!)
(なんだよ……っ)
スコールも駆け出していた。
(なっ!ついてこないでよ!!)
(走るの速いな…くそっ)
人ごみを避ける為、ときどき競歩のようになる二人。そしてリノアがお決まりのように地面に蹴躓いて前のめりになる。それを見てスコールは、
また咄嗟に腕を伸ばしていた。そしてリノアの手を握る。
「!!」
「……」
その手を振り切ろうとするリノアに離さないスコール。
その手は宙をブンブン切る。周りから見ればカップルが喧嘩をして彼氏が彼女を宥めているようにしか映らない。そして実際にそうであった。
「〜〜〜〜っ(恥ずかしいからやめてよもぉおお!)」←恥ずかしいことをさせている本人
(鈍臭い上に強情な奴だなほんとにっ)
リノアはスコールが引き留めてくれることが嬉しかった。
けれど、逃げようと暴れた。そしてスコールは掴んだ手を離す。
(あ、あれ?)
後ろをちらりと見ると、もう知るかというような表情をしたスコールが立っていた。リノアはスコールの醸し出す”知るか”という空気に耐えられなくなり、走り出す。
(……本気で怒らせたかも…………)
そして、ガーデンに先に到着。門の前で植木の傍の支柱に背を預けてスコールを待つリノア。
スコールは暫くしてのんびりと遅れてやって来た。リノアの姿を見つけると、そのまま彼女に向かって歩いてくる。
リノアはスコールが通り過ぎて行ってしまうものだと思いながら
ひたすら地面を見つめ続けた。そして……
トスッ・・・・・・
スコールはリノアの体を囲うようにして支柱に腕を付けた。優しい壁ドンである。
「……逃げ足速すぎるだろ」
「……うっ…ごめんなさい」
自然に二人は見つめ合い、そしてスコールがリノアの唇に…
近づいたところで離れる。赤面し合った二人はやがて体を離して
スコールがリノアに背を向けて歩きだす。今度はその背中を追うリノア。
そして、その背中にぎゅっと抱きついて仲直りをする二人であった。
完
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