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小説
1

「ねー、兄さん。今日は一緒にお風呂入らない?」

そう、この一言が全ての元凶だった。
もう子どもではないと断っても、那智は無理矢理にでも慧を連れて行こうと腕を引く。
常日頃から、甘やかしすぎるのも悪いとは思っている。だが、強く拒否する理由も見つからないのも事実で……。

「仕方ないな。今日だけ特別だぞ?」
「やった〜、ありがとう」

こうやってまた、弟を甘やかしてしまった。この後、その甘さを後悔する事になるとは今の慧には予想も出来なかったに違いない。
機嫌良く笑顔を浮かべた那智に背中を押されながら、慧は浅い息を吐いて風呂場へと向かった。
那智の浮かべる笑顔に、黒さが混じった事にも気づかないまま……。










******************

確かに……。確かに一緒に風呂へ入る事は許可した。
だが……――。

「こ、こんな……。破廉恥な事をしていいとは言ってないぞっ!」
「え〜、そうだっけ?まあ、いいじゃない。兄さんも気持ちいいみたいだしさ」

――風呂に入った所までは良かった。問題はその後だ。
浴槽は大人が二人入っても余裕があると、那智はなかば無理矢理に慧を浴槽に浸からせた。
子どもの頃は二人で入っても違和感など無かったが、今は妙に恥ずかしいと言うか変に意識してしまう。……いや、同性でしかも兄弟同士なのだから意識する事自体おかしな話か。
浅く息を吐き落ち着こうとした慧に、那智はそろそろと手を伸ばした。

「……那智?」

その気配に気づいた慧が振り向こうとした瞬間、肌が粟立つ感触に身を震わせた。
視線を落としてみれば、那智の手が胸辺りを触っていた。その衝撃に一瞬フリーズしかけたが、すぐさま下に移動する手に慌てて制止の声をかける。

「な、なななな、那智!?何をしている!」
「ん〜?何って、セクハラ?うわぁ、慧の肌スベスベ〜」

暢気な返答に脱力しそうになる。だが、ここで負けるわけにはいかない。このまま好きにさせては、きっと、いや必ず危険な事が起こるだろう。

「那智っ!いい加減にしないと――――っ!?」

これ以上は駄目だと制止の声を上げようとした慧だったが、時既に遅し。
肌を撫でていた那智の手が、胸の乳首を掠めたのだ。
綴られるはずだった慧の言葉が切れた事に、那智がここぞとばかりに責めてくる。その都度止めろと声を荒げたが、甘さを含んでいては効力など無に等しい。
――そして、今に至るのだ。


「あっ、ぁぁ……」
「兄さんのここ、蜜が溢れてるよ?可愛いな〜」

既に先走りが溢れる先端を、親指の腹で柔らかく撫でられる。
もう抵抗する気力は失われ、那智の愛撫に翻弄されてばかりだ。
先ほどから緩い刺激しか与えられず、イキたくてもイケない。
それと同時に後ろを指で解される。そのたびにお湯が入ってきて、違う刺激に声が溢れる。

「な、ッ那智……。も……おかしく、なる」

寸止めの状態で、しかも長時間お湯に浸かっているためか、頭がボーッとしてきた。
ただただ、湯の跳ねる音とクチュクチュと響く卑猥な音だけが耳に入ってくるのだ。

「ん〜、そろそろ大丈夫だと思うし、お湯ん中に出すのもヤバいから……ちょっと出ようか」

言葉の意味が解らず首を傾げれば、先に出た那智に身体を抱き上げられた。しかも軽々と抱き上げられたため、少し……いや、かなり複雑だ。

「ほら、兄さん。壁に手ぇついて」
「……こ、こうか?」

いわゆるお姫さま抱っこから解放されてすぐ、次の指示を受けた慧は素直に従う。思考が麻痺して考える余裕もないのだ。
言うがまま壁に手をつく慧に、那智は嬉しそうに微笑み後ろから手を回した。
何をされるのか予想も出来ず、慧はまたしても首を傾げた。――瞬間、後ろに感じた圧迫感に瞳を見開く。
見れば、自分の秘部に那智自身の先端が宛がわれていた。

「ま、まさか……」
「うん?兄さんも、このままじゃツラいだろう。一緒にさ、気持ちよくなろうよ」



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あきゅろす。
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