「ダイゴ。」
「なに?」
呼ばれて窓から視線を友人に向けた。特徴的なモミアゲの友人、ミクリは今までの僕の様に視線を窓から投げている。
「最近、ここから外ばかり見ているね。面白いものでもあるのかい?」
「…いや、単純に席が窓際だから。」
何て、実はそれだけじゃないのだけど。しかし僕のその答えをどう受け取ったのか、ミクリは可笑しそうにくっくっと喉を鳴らして笑いを耐えようとしていた。
「ダイゴ、君が…いつも同じ時間に裏門を見ているのを知っていた?」
その言葉に開いた口が塞がらない。だってそんなこと知らなかった。どうしようもなく、恥ずかしい。
するとそれが顔に出ていたのか、ミクリはまた喉を鳴らす。
「それにしても、ダイゴに好きな子ができるとはね。」
「…え?」
「見てるだけって事は学年が違う、ってことかい?」
ダイゴは押しが強そうだしね、なんて笑うミクリを思わず凝視すると、今度は怪訝そうに首を傾げられる。ちょっと待って。
「何でそうすぐ恋愛に直結するんだ。」
「見てたの男だったの「女の子だよ。」
どうしてわざわざ毎日男を見るのを楽しみにしなくちゃならないんだ。余りにも不快な台詞は最後まで聞かずに遮っておく。
「…大体、名前も知らない子だよ。単に入学式で見たなってだけで。」
これ以上何か言われるのは嫌なので、彼女を見ることに大した意味が無いことを告げておく。ほらもう予鈴が鳴り始めるよ、席に戻れば?そんな意を込めてため息を吐く。いつもならそんな僕の気持ちだとか他人のそういうことに敏感な彼は、はいはいとか言いながら苦笑するはずだが何故かミクリは真ん丸になった目を僕に向けている。何だって言うんだ。
「それは、一目惚れ、じゃないのかい。」
そうなの?
そうかも!
(ダイゴ、顔真っ赤だよ。)(……ッ)
100514
気付いちゃった。
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