(そろそろ戻ろう。)
朝の生徒会の仕事も変わらず、ただ面倒の一言に尽きる。その上今日は彼女が通らなかった。面倒に付属していた楽しみが削がれ、本当にただだだ面倒でしかたないことを再確認。彼女は部活にでも入ったのだろうか?朝練があるのなら早い時間に校庭に近い正門を使うはずだから見掛けることは無い。
誰が見てるでもないので隠さず溜め息を一つ溢し、気だるいまま校門を引く。がらがらがらり、校門の車輪の音に合わさって足音が聞こえる。誰か来るのだろう。走っている様だから少し待とうかと手を止めたと同時、砂利を擦る音と驚く声。声からすると女生徒だったので、仕方なく曲がり門から通りを覗いてみた。
刹那、一度呼吸が止まった。投げ出されたカバンについたキャラクターに見覚えがあるし、何より膝をぺったりとつけて俯く女生徒は毎日見掛けている。
にやつく口角を下げることが出来ない。ああ、やっとやっと、あの笑顔は僕に向けられるんだ、僕に。記憶の中のにやけた生徒会長に叫びたい気持ちでいっぱいだ。
「ありがとうございます、必ずお返しします!」
ほら、ね。
君の不幸は
蜜の味
(何でだろう、)
(甘くて堪らない)
100423
ダイゴさんはまだ恋を
している自覚無し。
←→