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きらきら


きらきらのネオンが煌びやかなライモンシティのど真ん中にあるベンチ。そこに見知った子によく似た子を見付けて、思わず声をかける。


「なまえ?」


ぱ、と上がった顔はやっぱり見知った子で、人違いで無かったことに安堵した。


「クダリくん。」

「どーしたの?まだ帰って無かったの?」

「うん、まあ。」


そう言って俯いたなまえは膝に置いた鞄の上で指先を握り合せてる。僕にここで一人座っている理由を悟られたくないんだろう。残念ながら、その態度こそが理由を語ってしまっているわけだけど。


「じゃあ、一緒に帰ろうよ。」

「うん。」


僕が伸ばした手に、なまえの手が重なった。立ち上がらせたなまえは、「送ってくれるの?」笑う。「もちろん。」手を放して、頭を撫でた。カナワタウンに住んでいたころ同様、親元を離れたこのライモンシティでも僕らの住居はすぐご近所だ。ゆったり、同じ方向に向かって歩き出す。


「ねえ、」

「なあに?」

「もしかして、彼氏と別れた?」


投げ掛けた言葉にクエスチョンマークはつけていたけれど、実際は絶対そうだよね、という確認だった。それは当然なまえにもきちんと伝わっていて、なまえは苦く笑いながら頷く。


「わお、最短!」

「もう!からかわないでよ!」

「あはは、ごめんごめん!」


フン、と鼻を鳴らして、なまえの瞳は僕からネオンへと逸らされた。


「まあ原因は聞かないけどさ、ちょっと休憩したらどう?」


少しだけ歩調を速めて、なまえを振り返る。なまえの目にネオンをバックにした僕が映り込んだ。


「休憩?」

「そ。恋愛なんてさ、しようと思えば誰とでもいつでもいくらでも出来るじゃない。だけどさ、実際の対象は一人。」


きらきら。輝くなまえの双眸が僕を射抜く。ネオンなんか映さなくても綺麗に光るその目が、僕は大好きだった。大好きだったが故に、知っている。今までその目はいつだってたった一人に向けられていた事。そして今も変わらず、誰が隣にいたって、そこがバトルトレインだって、バトル中だって、黒を映していたって、輝いている事。知っているんだ。


「休憩しないとその人を見付ける眼鏡がちょっと曇っちゃうときってあるでしょ?」


だけど、そのきらきらが君の"お兄ちゃん"の目を眩ませている。それで、君は躍起になるんだ。そうして、"お兄ちゃん"も躍起になる。

だからイタチごっこは終わらない。


「クダリくんって、偶にもっともっぽいこと言うよね。」

「ええ!なまえ、それ、どういうこと!」


なまえは困ったように微笑んだ。とっかえひっかえの己を窘められているように聞こえたのかもしれない。――まあ、実際その意も込められているから勘違いではない。さすがに僕もそろそろ心配だし、ノボリだってその内爆発してしまうかもしれないから。


「とにかくさ、休憩しようよ。」

「具体的には?」

「ポケモンミュージカル見に行く!…僕と!!」

「……それ、クダリくんの休憩でしょ…。」

「僕もなまえも休憩必要!ぐうぜんのいっち!!」

「…それノボリお兄ちゃんの方が………まあ、いっか。」


全く、しょーがないなあー。そんなことを言いながらも、なまえは嬉しそうににっこり笑った。どうやら、僕はちゃんと釣り上げる事が出来たらしい。もちろん予想通りだけど。


「行こう、休憩!」

「ホント!?」

「クダリくんと遊ぶの、久しぶりだもん。実は結構楽しみ!」

「やった!!いつにする!!?」






きらきら
(きみの笑顔)



120906
で…二人を遊ばせて
どう話を進めるのか
全く決まって無い…。


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