[通常モード] [URL送信]
影響


「すみません。」

「はい!」


バイトに行こうとコガネシティを歩いていると、私と同じ、若しくは少し年上の男性に話しかけられた。


「あの、コガネジムってどの辺ですか?」


どうやら道を尋ねたいらしい。実はこういうことはコガネではよくあることだ。賑やかな街中に目移りしている内に迷ってしまうらしい。


「それでしたら案内しますよ。」

「え?いいんですか?」

「はい。少し時間があるので。」


道案内は初めてではない。特にジムは自分もバトルをするだけあって、結構楽しい。色々なタイプのトレーナーと話すのは面白いし、発見もある。コガネの後にエンジュに挑戦に来たトレーナーとバトルになることもあったり。


「それじゃあ、お願いします。」


人当たりの良さそうに細められた紫紺色の瞳に、薄紫のマツバさんの瞳を思い出して照れてしまう。この人はマツバさんの所までくるだろうか。


「もしかして、君もトレーナー?」

「えっ、どうしてわかったんですか?」


私は思わず自分のスカートを確認した。パンツの時にはベルトにボールをつけているが、今日はスカート。腰には何もない。私のボールは4つとも鞄の中で大人しくしていた。


「ジムって言った時に、嬉しそうにしただろ?」

「……!」


にいっといたずらっぽく笑った彼に、自分の口角も上がる。どうやら彼もバトルが大好きなトレーナーな様だ。

「同類ですか。」

「同類ですね。」


顔を見合わせ笑う。直後、彼が声を上げた。ジムが視界に入っていることに気付いたらしい。


「ここまでくればさすがに迷いません。ありがとうございました。」

「いえ。ジム戦、がんばってくださいね。」

「もちろん!」


今日はバイトが楽しく出来そうだ。足取り軽く、踵を返そうとした。


「待って。」

「?」


ポケギアを差し出す彼と、再び顔を合わせて笑う。


「今度勝負しよう。」

「もちろんです。」


まだ先のバトルに胸が熱くなった。



彼の影響
でしょうか

(バトルが好きになったのは)





120105
新春アンケで
元結界が多かったので。
彼女もバトルは大好きです




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!