安心少女
『マツバくんは、僕と話して少しでも元気になれた?』
私がそう口にした次の日も、勿論いつも通りマツバくんは私の家の前を通った。きっと早々に異変に気付いたろう。私の部屋のカーテンが閉じている事に。いつもならこの時間はもう開いていて、ミケの顔を覗かせるのだから。
彼はじっとこちらを見てから、今度は大きなトラックに目を移す。エンジュで車自体あまり見ないので、私の部屋のカーテン以上に気になっただろう。
彼がトラックの横で立ち止まる。視線が、大きな青い文字に向いた。ああ、わかってしまう。あのトラックが何のためのものなのか。
そう思った時、トラックの運転席から男性が現れた。マツバくんは少し跳ねて、それからゴースを連れて慌てて去っていった。
(ああ、よかった。)
(臆病者にお似合いの、
さようなら)
110407
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