トレーナー
2つのボールを見つめ、笑う。それから慌てて顔を引き締めるも、緩む頬はどうにもならなかった。
私は、トレーナーになったのだ。それも欲しくて仕方なかったポケモンを得たのだ。これが笑わずにいられるか。
片方はそう、その欲しかったポケモン。もう片方は借りたポケモンだ。同じ町に住む少年が貸してくれたラルトスだった。当初お父さんからポケモンを借りておくりびやまに向かう予定だったのだが、彼に事情を話した所、是非自分のラルトスを連れて言ってあげて欲しいと言って貸してくれたのだ。
ゴーストタイプはエスパータイプの弱点だったが、よく鍛えられたラルトスだったので何の問題もなく目的のポケモンをゲットすることが出来た。彼にはちゃんとお礼をしなければ。何がいいだろう?食べ物ならクッキーとかケーキとか?考えながら扉を開く。
「ただいま。」
「おお、おかえり。」
「ポケモンゲット出来たの?」
「もちろん!」
リビングでお父さんとお母さんがお茶をしていたようだ。二人は私を興味津々と言った目で見つめている。二人には、どんなポケモンが欲しいか言っていないからだろう。お母さんが楽しそうに口を開いた。
「見せて見せて!」
「いいよ!出ておいで!」
2つのボールのうち、スーパーボールの方を床に放る。真っ白い光に包まれて現れたポケモンは、小さな体でリビングの天井に孤を描いた。
「きゃあ!」
小さく悲鳴を上げたお母さんがお父さんに飛び付いた。
「名前、あの、あの子は何てポケモンなの…?」
怖がるお母さんと、唖然とするお父さんに胸を張る。どう?私のポケモン、可愛いでしょう!
「女の子にしては珍しいポケモンを手持ちにしたなあ。」
お父さんが優しく苦笑した。
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110611 修正
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