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ぬるいエロ注意!


「おかえりなさい。」


にっこり、嬉しそうに笑う名前ちゃんに思わず頬が緩んだ。


「ただいま。」


今日は名前ちゃんが僕の家に泊まる日で、火曜恒例のバトルの後一緒に帰る予定だった。しかし、今日に限って遅い時間に挑戦者が来てしまい、仕方なくバトルは中止にして彼女に鍵を渡し、先に帰ってもらうことにした。うちに彼女を呼ぶのは初めてでもないからいいだろうと思ったが、自分の家のインターホンを鳴らすのは不思議な気分だ。

それに、こんな風に出迎えられるとなんだか新婚の気分になってしまう。(僕は何考えてるんだか。)


「ご飯はまだかかりそうですけど、お風呂は沸いてますよ。どっちにします?」


選択肢に名前ちゃんが入って無いよ?なんておちゃらけて言うキャラでも無いので飲み込んだが、正直、今三つ目としてその選択肢があったら本気で選びそうだ。

名前ちゃんは黙った僕を悩んでいると判断したのだろう、ただ静かににこにこと僕の答えを待っている。エプロン姿が可愛い。


「じゃあ、ご飯かな。」

「わかりました。じゃあもう少し待っててくださいね。」


今の季節は僕と彼女が付き合って一度目の冬。お風呂で温まるのもいいけれど、寝るときに足が冷たいのは嫌なのでお風呂は後にしようと思った。

手を洗ってからリビングに入ると、名前ちゃんがキッチンで忙しなく右往左往しているのが目につく。


「手伝おうか?」

「あ、いいんですか?」

「うん。」


振り返った名前ちゃんが座ってて下さいと言わないところを見ると、恐らく本当にまだ少しかかるのだろう。名前ちゃんは笑って真っ二つに切られたピーマンを指差す。


「ピーマン洗って下さーい。」

「はーい。」


言われるまま、ピーマンの種を取り除き、奇麗に洗ってまな板に置いていく。名前ちゃんは端からそれを細く切っていく。


「青椒肉絲?」

「当たりです。最近は野菜切って入れるだけのが売ってるのですっごく簡単ですよ。」


そういってから慌てた様に、手抜きでごめんなさいと笑った。


「いいよ、お腹空いてるし。それよりそのエプロンどうしたの?」


可愛い、とは思ったが、何となく彼女の趣味では無さそうなそれに僕は首を傾げる。フリルが多めについていて、機能性よりデザイン性が高そうだ。


「あ、そうでした、これ、ジムのスズコさんから頂いたんですよ。」

「…え、今?」

「はい、今さっき。」

「うちで?」

「はい、ここで。」


スズコさんとはエンジュジムのジムトレーナーである。彼女は確か一番入り口に近いトレーナーだから、僕が挑戦者と戦う随分前に戦闘が終了するトレーナーである。帰りににやにやと笑う彼女と別れを交わしたから、恐らく僕が挑戦者と戦っている間にエプロンを届けに来たんだろう。(…仕事は?ジムトレーナーだよね?)

そういえば最近彼女らがひそひそと井戸端会議を開いているのを何度か目にした。僕が近付くと蜘蛛の子を散らしたように仕事仕事と持ち場に戻っていくのだが、そのひそひそ話に僕の名前と彼女という単語が出ていたのは知っている。彼女らにとって僕は孫のようなものだから何かと世話を焼かれるので、その延長だろうとは思っていたが、まさか僕のいないときに彼女と接触するとは。

とりあえず混乱する頭は一度放置し、ピーマンの種を取り終えたので手を濯ぐ。


「あ、あのすいません、私勝手に玄関開、……ッ!」

「!大丈夫!?」


言葉を切った名前ちゃんは突然ビタリと動きを止めた。僕があまりに黙るから怒っていると思って焦ったのだろう、指を切ってしまったらしい。


「ごめんね。」

「いえ!私が悪いんです!その、玄関もごめんなさい…」

「玄関は危ない人じゃなければ開けていいよ。大丈夫。」


包丁を置いて両手を振った名前ちゃんに怒っていないことを伝えると、彼女はほっと息を吐く。しかし今度は僕が慌てる番だった。


「血、結構出てるね、絆創膏…救急箱にあった気がする。」


流れ出る程では無いものの、名前ちゃんの指はそれなりに血が滲んでいる。取り敢えずティッシュをあて、その指を握ったまま台所を離れる。


「ゴース、ゴースト。救急箱の場所覚えてる?」

「ゴスゴス!」

「じゃあ持ってきてくれる?名前ちゃんが怪我しちゃったんだ。」


食卓の近くでじゃれ合う二匹にそう告げると、二匹は名前ちゃんの周りを二、三度心配そうに周り、それから壁をすり抜け救急箱を取りに行った。


「じゃ、ここ座って。」


指を引いたまま、彼女を桃色の座椅子に座らせる。この座椅子は名前ちゃんが買って来てくれたもので、僕のは紫色だ。和室に似合わないかとは思うが、座布団と違って背もたれがあるし、その上その角度が調節出来るし倒れるしで、使い勝手はかなりいい。


「ゴスゴスゴス!」


今さっき部屋を出たばかりの二匹が救急箱を持ってきたので、受け取って頭を撫でてやる。しかし二匹は撫でられるのをそこそこに、再び名前ちゃんの周りをオロオロと飛び回り始めた。


「ありがとう、大したことないから大丈夫だよ。あっちの部屋で遊んでおいで。」

「ゴース!」

「ゴスゴス!」


名前ちゃんの言葉に安心したらしい二匹は、一度彼女に頭をぐりぐり押し付け撫でるよう要求し、撫でてもらうと嬉しそうにニヤニヤしながら壁に溶け込んで行った。


「消毒するね。」

「あ、自分で…」

「いいから。あ、血、止まったね。」


握ったままだった名前ちゃんの指からティッシュを剥がすと、もともと傷が浅かったこともあり、血はもう止まっていた。消毒液をたらし、ティッシュで軽く拭って絆創膏を貼る。


「意外に、手慣れてるんですね。」

「意外?」

「だって、マツバさんって怪我しなさそう。」


そうかな、と指から目を上げると、予想以上に名前ちゃんとの距離が短くて言葉に詰まった。


「マツバさん?」


首を傾げ、小さく開いた桜色。座椅子に三角座りをしているために、少しだけ捲れたスカート。その上僕はその脚の間に正座。思わず生唾を飲んだ。


「…?あの、…ッ?」


名前ちゃんの座る座椅子の背もたれを思い切り引く。カチカチ、と出来る限りの最小角度までいくと、背もたれは緩くなり、押すだけで後ろに倒れてしまう。


「マツバさ、わっ?」


背もたれと共にこちらに倒れてきた彼女を、今度は逆方向に押し倒す。


「あの、」

「ごめんね?」

「へっ?」


倒れた彼女の上に、馬乗りになる。真ん丸になった目が可愛い。


「マ、マツバさんっ?あの、ご飯が…っ」

「あはは。」

「あははじゃなくて…!」


名前ちゃんの輪郭線を唇でなぞり、掌は指でなぞる。ここまで来て戻ったら生殺しもいいところだ。相当嫌がられない限りは押し通してしまいたい。なんて、相当嫌がる理由が無い事を知りながらこんなことをしているのだけど。


「…っ、マツバさ…」

「名前、名前…」

「…っ、ん、」


なぞるのを止めた指を彼女の指に絡め、啄ばむ様なキスを繰り返す。そうすれば次第に名前ちゃんの目が潤むのは、まだこうするのが三度目であっても勿論知っている。


「う、ふ…、…っ」

「ん、ん、」

「は、マツバさん…」

「ふふ、また息止めてた?」


そう言いながら名前ちゃんの前髪をかき上げてやると、恥ずかしそうに視線を逸らす。その様子がどうにも可愛い。


「ほら、ちゃんと僕を見て。」


ちらり、窺うように戻される視線が小動物を思わせて加虐心を煽る。


「ねえ、このまま、…ご飯は後でいい?」

「…あ、」


すっかり忘れただろう夕食の事を持ち出すと、忘れていた事に恥ずかしさを感じてうろたえる名前ちゃん。わざわざ持ち出したのはその表情が見たいからだったというのに、いざ見せられるとどうも気持ちが逸りそうになる。だめだ、ここは抑えないと。


「いい?」


きっと答えは返ってこないだろうけれど、恥ずかしそうに俯く名前ちゃんが見たい。


「…、…っい、」

「…?」

「いい、です、…後で。」

「……っ!」


蚊の鳴くような声が、ぞくりと僕の何かを震わせる。


「名前ちゃんが、悪い。」

「え、……ッひゃ、」


首筋を舐め上げて、胸と太ももに触れる。太ももに触れた指が冷たかったのだろう、名前ちゃんは小さく身震いした。


「名前、名前、名前…」

「…っ、……は、……マツ…っふ、」


跳ねる太ももが、高鳴っている心音が、ひくりとしゃくり上げるような声が、どうしようもない位僕を追い立てる。エプロン、初日なのに汚してしまいそうだ。脱がす程の余裕が無い。


「…名前、」

「…はあ、…やっ、んん…ッ」


服の間から手を侵入させると、驚いたように跳ねる。それに異論を唱えられてしまう前に唇を塞ぐ。


「ん、ん、…」

「ふ、は…う、…っ、あっ、」

「ん、…名前…」


手は止めないまま、とろりと蕩けた瞳を至近距離で見つめる。涙が零れそうなほどに潤む目と、唾液で光る唇が扇情的で、ぞくぞくとひどく欲情させられる。


「は、マツバさ、」


ピンポーン


「……。」
「……。」


鳴り響く来訪者を知らせるチャイム。見つめ合ったまま時間が止まる。


「……マツバさん、お客さんが…」


先に口を開いた名前ちゃんからはありありと冷めたことが読み取れたし、現に僕も冷めた。ぴんぽーん。もう一度来訪者が僕を呼ぶ。ああもう!


「…出たくない。」

「だ、だめですよ…」

「…居留守使いたい。」


名前ちゃんにひっついて額をその薄い肩に寄せると、彼女の困った声が骨を通して響いてくる。


ピンポーン

「マツバさーん、いるのはわかってるんですからねー。」

「げ。」


玄関先から聞こえる元気な声はジムトレーナーのタエコさんのものだった。僕が少し前に帰ったのを知っているのだから、隠れても無駄だ。


「…出てくるから待ってて。」

「彼女が来ていることも知ってますからねー。」

「げ。」


どうやら彼女の狙いは名前ちゃんらしい。


「…、行こうか。」

「はい。」


苦笑した名前ちゃんの手を引いて体を起こし、彼女の耳に唇を寄せる。


「またあとで。ね。」

「ま、マツバさんっ!」


さあ、僕の彼女を


紹介します
(こんばんは)
(お楽しみのとこすいませんね。)




「い、いや別に…!」
「ほほほ」
100722
エプロンの妄想があったんですが
がっつり消えたので
書き直しは止めました。
あと書き直したら何故か
消えた文章より
余裕の無いマツバさんに…




あきゅろす。
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