テレビ鑑賞
「何かして待ってようか。」
「ゲゲゲッ」
僕の問い掛けに良い返事を返したのは、今の今まで僕と戯れていた僕のゲンガーだ。僕が席を立つとふらふらとついてくる。
実は彼女の家に長く留守番するのは初めてだ。と、いっても昼までだが。しかしその昼までは僕をそわそわさせるには十分。名前ちゃんにはテレビでも見ててください、なんて言われたが何かしないと落ち着かない。既に自分の食器は洗ったので、次の仕事を探し求める。
「ゲンガッ!」
ゲンガーが何か見付けたようだ。彼の短い指の差す方に目を向けると、そこには洗濯かご。おそらくこれから洗うものだろう。僕の服も重ねてある。
これでも一人暮らしなので、最小限の家事は出来るつもりだ。勿論洗濯も。こんなにいい天気なのだから干さないのは勿体ない。
「よしきた!」
じゃあ布団も干してあげよう。彼女が喜んでくれたらいいなあなんて思いながらかごの中を色物だとかネットに入れるだとかで分けていく。
ぴろん、
「…??……ッ!!!!」
「ゲゲッ?」
「〜〜〜ッ!?っ、…!!」
ガタタタッ
洗濯の中から現れた思わぬ物に、声にならない悲鳴をあげて慌てて飛び退いた。
「…う、迂濶だった…。」
「ゲー?」
思わぬ物というのは、洗濯といえば洗濯だったが、男の僕が洗濯していいものではなかった。つまりその、女性物の下着である。胸元を掴んで煩い心臓を押さえ付けるが、目に焼き付いたパステルカラーが離れない。…変態か、僕は。
大体彼女の下着なんて暗闇の中で何度か見たじゃないか。そう思ってもやっぱり場面が違うし、不意打ち過ぎた。情けないことにきっと僕の顔は面白い程真っ赤なのだろう。証拠に、ゲンガーは僕を指差したり手を鳴らしながら転げ回っている。(くそう。)
こめかみをぐっと押さえ、目を強く閉じる。心を無に…
ガタタ、
「ゲゲゲゲゲッ」
「う、…こ、こらゲンガー!!」
「ゲ、」
音のする方を見ると、ゲンガーが洗濯かごに手を突っ込んでニタニタと笑っていた。意味は分からなかったようだが、僕の反応は相当楽しかったらしい。大慌てでゲンガーをボールに戻した。
「……疲れた…。」
素直な感想を口にしてから、もう格好付けることは考えずに大人しくしていようと、僕は当初彼女に言われた通りにすべくテレビのリモコンに手を伸ばした。
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(……、)
(本当に疲れた…)
100622
再戦のときのよしきた!
ってかわいくないですか^^
それにしてもヒロインとの
絡みがない…
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