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回避



「ほら、早く歩け!」

「…、…。」


少し後ろを歩いていた私を、男が急かした。逃げる道を考えてぼんやりしていたようだ。あまり興奮させてはいけないと、慌てて駆け寄ろうと、した。


「ゲゲゲゲゲッ!!」

「う、うわあっなんだこいつっ!!」

「げ、ゲンガー!」


男の影が伸びて現れたのは私のゲンガー。奪われてしまったはずの、私のゲンガーだった。彼は男を驚かせてから私を振り返り、にんまりと笑んだ。

どうして、そう言う前に頭が冷静を取り戻す。これは、チャンスだ。ゲンガーは素早く私の方にやってきて、そのまま私の手を取った。こっちだ、そう目で言ってからリードしていく。


「この…っサンドパン!!」


遅れて冷静になった男が、ボールを放った。飛び出したサンドパンが鋭い爪を高らかに見せ付ける。


「あいつらを逃がすな!」


まずい!縺れそうになる足を前へ前へ。振り向かず、前へ前へ。後ろから、間の抜けた声が聞こえた。「あ…、」


「あ、ああ待て!待てって!!」


次いで、悲鳴の様な叫び。それでも振り返らなかったのだが、私の手を引くゲンガーが振り返って目を剥いたので、私も倣って振り返る。


サンドパンが、伏せていた。


サンドパンは扱ったことがないが、何度かバトルであの姿勢を見たことがある。


(ミサイル、ばり…!!)


逃がすな、いこーる、動けないようにしろ。そういうことか。

頭のどこかでそう思いながら駆ける。飛び込める角も道もない。ゲンガーが手を離して私の後ろに回り込むけれど、間に合いそうにもないし、間に合って欲しくももない。


「……っ」


無数の針が舞うのを、見た。


回避不可能、、、
(強く強く目を閉じた。)
(想った。)





101019
サンドパンの予測変換が
三度パンでした。洋風!
しかし私は和食派です。




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