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苦笑



「フワライド、シャドーボールだ。」


屋上の扉に捩りあけたような穴があく。通れる大きさであることを確認してから、フワライドの頭を撫でてボールに戻す。それから目を閉じ、もう一度建物の中を探ってみた。恐らく、狙い通り彼は慌てて移動を始めたはずだ。けれど移動をしているだろう名前ちゃんの姿が見えない。

頭を軽く振って雑念を落とす。僕の目は想いが強いと見えにくくなってしまうのだ。先ほどはハヤトくん達が一緒だったから多少冷静でいられたが、一人になってしまうとどうも気持ちが逸る。ゆっくり、深呼吸を繰り返した。

ぼんやりと見え始めるのはタウリンやキトサンの並ぶ商品棚。きっと四階だ。犯人を脅かしたのはスタッフルームじゃ何階かわからなかったという理由でもあったから、僕の計画は今のところ順調のようだ。ただ…


「…どうしよう…。」


ここからどうするかは実は全く考えていなかった。

それほどに自分が焦っていることに苦笑しつつ、どうすべきか考える。…とりあえず他の部屋に入ってしまう前に名前ちゃんを取り返さなければ。口を開けた扉を、屈みながら跨ぐ。かたり。ポケットに入ったボールが揺れる。かたかた、がた。僕のポケモンは腰のベルトについているから、揺れているのは名前ちゃんのポケモンだ。跨ぎ終わり、建物の中に入ってからポケットのボールを出す。

ポン!軽快な音を立ててボールが3つ開いた。


「ゲゲゲゲゲ!!!」

「!ちょ、ゲンガー!あ、こら、ムクバード!」


開いた瞬間にまずゲンガーが床に沈んだ。それから黒い影が完全に沈むより早く、ムクバードが勢いよく飛んでいってしまった。


「……あー、もう…」


迂闊。頭を抱える。あの二匹は僕の言う事などほとんど聞きはしない。それなのに出してしまうなんて、迂闊以外の何物でもなかった。


「パルル…」


デンリュウだけは僕とムクバードの行った先を交互に見やっている。よかった、虚しさが少しだけ薄れた。


「…僕らも行こう。」

「パルッ!」


けれど、名前ちゃんを初めに見付けるのが多分ゲンガーだと思うと、少し悔しい。…なんて、こんな時まで焼いているなんて本当に僕は盲目らしい。


思わず、苦笑
(せめて、)
(ムクバードより早く見付けられたらな)





(…無理か。)
100912
ここまで引っ張ってあれですが、
多分これ終わりすごいあっさりな、気、が
…苦笑^^




あきゅろす。
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