現実逃避
「はあ?…えーっと、」
俺は上司に思わず酷い疑問符を向けてしまい、慌てもう一度考え直した。が、
「はあ?」
漏れた言葉はまた同じもの。
「そういう事ですから、おまえから部下に言っておいて下さい。」
ぶつり、通話が切れた。何だって言うんだ。
「…嘘だろ…」
分かっている。嘘ではないことは。あの真面目そうな上司がよりにもよってそんな嘘を吐くはずがないことは。しかし、信じたくなかった。ラジオ塔乗っ取りに失敗したどころか、まさかそれが年端もいかぬ子供一人によるものだとは。まさかまさか。いや、認めざるを得ないのは分かっている。だけど。しかし。だって。
「ロケット団解散とか、マジで笑えねーし…」
ずるずると壁を伝い踞る。机からバンジージャンプ状態の電話口は未だ通話終了を叫び続けていた。ああうるさい、バカヤロー。
ちりちり、心臓の裏が焼ける。ぷつりぷつり、脳内の至るところで血管が爆ぜる。ああうるさい、バカヤロー。
「ロケット団解散とか、笑ってやるかよ、ちくしょう。」
頭に血が上ると叫び続ける電話口は無視して思い切り部屋を飛び出した。
現実からの逃避行
(抜けたおまえの命令など)
(聞くものか!)
100611
真面目っぽいスタート。
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