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かわく




じりじり、じり。

脳の神経が焼き切れそうだった。二日も続く吸血衝動に苛まれている。空腹感にも似た、胃を焦がすような衝動。それに任せて血液を口に入れても、舌が受け付けない。それどころか、普通の食べ物すら不味くて仕方ない。食欲より衝動が勝っているからだろうか。こんなことは初めてで正直どうしていいかわからないし、そもそも激しい衝動で脳みそがやられていて、考えること自体が難しい。

ああ、欲しい、欲しくてたまらない。


「…、けてよ、」


じいっと布団を被って、ただただ眠気を待った。喉の疼きに、掻き毟りたくなる。頭に朧げに浮かぶのは生意気な彼女。…僕の彼女なのに、僕のものにならない、あの。


「たすけてよ、」


掠れた声があの子に届いたら、僕を好きになってくれるだろうか。あの笑顔は僕だけのものになるだろうか。あの白い首を差し出してくれるだろうか。


「あのこが、ほしい、」


後ろから捕まえたら、隙があるだろうか。噛みついたらどんな顔をするんだろう。悲鳴をあげるだろうか。口をどう塞げばいいだろう。あのこの血、おいしかった、なあ。


「ほしい、欲しい、欲しい。」


ああ、


のどがかわく
(あの血を思い切り)
(啜ってみたい)





120210




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