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盲目




「げほげほ、」


ごろりと寝返りをうつことすら億劫な体が恨めしい。体育祭翌日に体を壊すなど、張り切りましたと言っているようなものだ。ダイゴ先輩が意地悪そうに笑うのが目に浮かぶ。ちょっと張り切りすぎちゃった?なんて、まるで小さい子に言って聞かすような口調を使うのだ、きっと。


「……悔しすぎる…!」


なのに何故だろう、あのムカつく顔がどうしょうもなく恋しいなんて!


「げほ、…。」


風邪を引くと人肌恋しいとはよく言ったものである。先ほど、ダイゴ先輩との帰りの約束を思い出し休んでいることを伝えようとしたのだが、こんな時に先輩のアドレスを知らないことに気付いてしまった。普段だったら、きっと何でもない。ああ、明日にでも聞こうかな。その程度。だけど今日に限ってはそんな風に思えなかった。聞いていなかったことにこんなにも胸が痛い。


「……ん゛。」

〜〜♪〜〜〜♪♪


咳払いをして布団を被り直すと同時、携帯の着信音が響いた。この音楽はメールだ。携帯を取って、メールボックスを開く。新着一件は知らないアドレス。だけどタイトルにはあまりにも覚えがありすぎた。思わず飛び起きる。


「ツワブキダイゴ…!」


絵文字なんてないし、面白味もない文章だった。でもそこにある予想通りの言葉の羅列がどうしようもなく暖かい。あれ、悔しくもなんともない。おかしいな。

なんて、理由はわかっているんだけど。


恋は盲目
(「張り切りましたけどなにか?」)
(送信、と。)





111006
苦し紛れの更新…!
ミクリ先輩の確認とってる、は
嘘っぱちでした




あきゅろす。
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