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プロローグ




「ツワブキダイゴは…!」


私は猛烈に焦っていた。校舎裏から教室に向かって、今までにない必死さで駆ける。

その原因はほんの数分、いや数十秒前のことである。私は校舎裏にある昇降口に向かっていた。悲しきかな、少子化の影響で数年前から閉じられたままの昇降口。放課後は部活動の校内一周だとかで人通りがあるけれど、それ以外の時間では滅多に人は通らない。そんな場所に私がお昼休みを使って赴こうとしたのは、所謂告白というもののためだった。そう、大好きなエメラルドグリーンのあの人に想いを伝えるため、震える足を叱咤しながらあの場所まで行ったのだ。

しかし、そこには先客がいた。その上その男女ときたら抱き合っていたものだから慌てて引き返そうとしたのだが、出来なかった。見た瞬間背筋が凍ったからだ。

先客である男子生徒の名は直ぐにわかった。かっこいいと有名なツワブキダイゴ先輩だ。彼こそ、私の背筋を凍らせた人間である。

彼の唇、いや、歯。鋭い歯が女生徒の首筋に吸い付いていた。人間、驚くと本当に動けないもので、私の目は彼に釘付けられてしまう。そう、だから見てしまったのだ、


彼の喉が数回、上下したのを。

彼の歯と彼女の首筋の間に、赤いものが滲んでいるのを。


私は走りながらもう一度彼の名と、私の知った秘密を紡いだ。



「ツワブキダイゴは…吸血鬼だった…!」


平凡プロローグ
(小説ではありがちだけど、)
(私にとっては非凡過ぎる)





100607
なんて色物…




あきゅろす。
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