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抱えた




「やあマツバ。」

「…ミナキ…。」


内心大きく溜め息。ナマエちゃんとコガネでお昼を食べて、別れようとした矢先にやっかいな友人に出くわした。彼はミナキといって、年中伝説のポケモン、スイクンを追い回しているニーt…ゴホン。手にぶら下がった袋を見るに、コガネ百貨店に用事があったのだろう。運が悪い。そのミナキは暫く僕とナマエちゃんを交互に見てから再び口を開く。


「どうも電話に出ないと思ったら…そういうことか。」

「着信十件にその台詞、まるで彼女だね。」


ミナキがもう一度ナマエちゃんに目線をやると、慌てて彼女は頭を下げた。


「こんにちは!」

「ああ、こんにちは。」


そしてナマエちゃんの目が直ぐに僕をちらりと一瞥したので、渋々彼を紹介することにする。


「彼はミナキくん。伝説のポケモン、スイクンを探して全国を走り回ってるニーt」

「ニートじゃない、研究だ。」


ぴしゃり、ミナキが僕を睨みながら否定した。


「さ、行こうか。コガネジムに遊びに行くんだよね?送るよ。」

「えっ、あ、えっ」

「マツバ、私は無視か。」


ナマエちゃんの腕を掴み、ミナキの横を通り過ぎようとしたが、あろうことか彼はナマエちゃんの手を掴んものだからナマエちゃんは僕を見上げて眉を下げる。


「私が電話したにはちゃんと理由があるんだ。」

「ナマエちゃんが困ってるだろ。離してくれ。」

「ナマエ、君からも言ってくれないか。」


かちん、脳内で小さな音が響いた。僕はナマエちゃんを紹介してもいないのに呼び捨て、その上彼女の手を両手で握って顔を近付けている。

がっし。


「うお、」

「離れてくれないか。」

「わかったわかった、わかった!」


ミナキの頭を掴んで無理矢理押し遣ると、ようやくナマエちゃんから手を離した。これ以上絡まれるのも面倒なので、仕方なく聞く姿勢をとる。


「実はヒビキがアサギからエンジュを通ってチョウジタウンに行くところで、見失ってしまったんだ。」

「…ストーカー対象がスイクンだけじゃ不満かい?」


「違う!スイクンのためだ!だからその目を止めろ!」


わざとらしく冷めた目で見ると、ミナキはぶんぶんと激しく頭を振った。


「とにかく、ヒビキを見掛けたら直ぐに電話をくれ。」


言うだけ言って返事は聞かず、ミナキはさっさとエンジュに足を向ける。…が、何故か振り返り、


「ああそうだ、ナマエ。せっかく出会ったんだ、君の電話番号を聞いておくよ。」


にっこり笑うと、ポケギアをナマエちゃんに突き出した。ナマエちゃんも驚いていたものの、直ぐに自分のポケギアを取り出す。

僕は思うより早く、彼女のポケギアを隠す様に握り込んでそれを阻止した。ついでにミナキを一睨み。ミナキは一度目を剥いたけれど、直ぐににやりと笑った。


「マツバは案外ケチだな。」

「いいからさっさと行きなよ。ここで油を売ってる間にヒビキくんエンジュ過ぎるぞ。」

「!」


そうだしまった!なんて今度こそミナキはエンジュに足を向ける。それを見送ってから息をつくと、ナマエちゃんがじっと僕を見上げて…、


「ご、ごめん…!」

「あ、いえ…」


ぱっ、とポケギアを、そしていつまでも掴みっぱなしだったナマエちゃんの腕を慌てて離した。心臓が、うるさい。同時に頭がぐわんぐわんと揺れている。僕はどうして彼女のポケギアの番号を教えまいとしたんだろうか。…ああきっとミナキが彼女に迷惑をかけるといけないと思ったからだ。


「…行こうか。」

「…ですね。」


嵐のあとのなんとやら。僕らは妙な沈黙を置いたあとようやっとコガネジムへと足を向けた。極普通の距離を空け、ゆっくりと。


頭を抱えた
(どうも上手くいかない。)
(何がと聞かれたら、困るけれど。)









100524
アニメでミナキ、
ゲームでミナキくんだったので、
ゲームは紹介するときだったから
ということにしました。
すいません。
あとマツバさんがキツい。
すいません




あきゅろす。
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